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【未来予想図2020】驚きのフランクフルトモーターショー2015から、2020年の未来を予測!

ショーを賑わせたトレンドは各社SUV

フランクフルト中央駅
まず、今回のショーの最大のトレンドはSUVだ。ドイツ勢を含む欧州ブランドはもとより、日系ブランドまで、あちこちのブースでSUVのコンセプトカーや新型量産車を目にすることができた。

実のところ、SUV人気はフランクフルトに限ったことではなく、中国やアセアン、インドでも同じだ。もちろん、SUV大国のアメリカは言うまでもない。つまり、世界全体でSUVの地位が高まっているのだ。

フランクフルトモーターショー2015(IAA2015)メルセデスベンツの展示

フランクフルトモーターショー2015(IAA2015)フォルクスワーゲン・ティングアンの発表

その上で今回のショーで思うのは、メルセデスベンツやアウディ/フォルクスワーゲン、BMWといったドイツ・ブランドの用意するSUVは、意外と古典的だなということ。

オフロード走行を想定した本格的四輪駆動へのこだわりが感じられたのだ。

一方で、日系ブランドは、SUVといっても、オンロードを前提にしたような、いわゆるクロスオーバーが主流だ。トヨタも日産もマツダもクロスオーバーのコンセプトである。

もちろん、SUVの本道からいえばドイツ勢が正しい。しかし、世界を見渡すと、求められているのはちょっとだけロードクリアランスに余裕のあるクロスオーバーであったりする。別にFFでも問題ないのだ。

そういう意味で、世界的なトレンドの先取りは、ドイツ勢よりも日系ブランドの方が上手だなと思う。2020年の世にはSUVが今よりももっとたくさん走っているだろうが、それはきっとクロスオーバー風が多いのではないだろうか。

フランクフルトモーターショー2015(IAA2015)マツダ越KOERU

 

目立ったPHVコンセプトカー、しかし本命は「48Vシステム」?

次に目についたのはプラグインハイブリッド(PHV)だ。ドイツ勢のコンセプトカーといえば、ほとんどがPHVだ。量産車としても、フォルクスワーゲンは、ゴルフやパサートにPHVのGTEを設定。つい最近、BMWもX5のPHV版である『X5 xDrive40e』を日本に導入している。

では、2020年になると世の中はPHVだらけになるのか?

個人的には、その可能性は低いと思う。確かにPHVは、便利でクリーンな乗りものだ。しかし、普及するには高コストという大問題をクリアしなくてはならない。いくら素晴らしいシステムでも、生活者にとっての費用対効果があわなければ普及は厳しい。

これほどハイブリッドの普及した日本でも、2020年時点でのPHVの大ブームというのはまだまだ現実的でない。苦戦を強いられているピュアな電気自動車も同じことが言える。

では、どうなるのか? ちなみに、ディーゼルにも不正問題という逆風が吹き始めた。もちろん、燃費規制の締めつけは容赦ない。そうなると、残るのはハイブリッドしかない。しかも欧州には隠し球があった。

それが『48Vシステム』だ。

今回はコンチネンタルなどのサプライヤーのブースには、「市販化間近!」と謳う『48Vシステム』が数多く展示されていたのだ。

これは、発電に使うオルタネーターを、減速エネルギー回収と加速のアシスト用モーターに利用するというもの。日産やスズキが採用する、マイルド・ハイブリッドと同様のシステムである。ただし、欧州勢は、システム全体の電圧を日本の4倍である48Vに上げた。それだけ馬力が出せるし、燃費向上の効果も大きく期待できるのだ。

大げさな電池やシステムがなくても、簡単にハイブリッド化が可能。費用対効果に厳しい目を持つマーケットでは、こうした簡単なシステムが好まれそうだ。つまり、2020年の人気パワートレインは、『48Vシステム』になる予感がするのだ。

フランクフルトモーターショー2015(IAA2015)コンチネンタルの48Vシステム