
人類史は虫との戦いだ。
14世紀ヨーロッパを崩壊の寸前まで追い詰めたペストは、ネズミの体毛の中に潜むノミが、人間にも寄生し菌をばら撒いたという経緯である。
マラリアは、ハマダラカによる媒介が引き起こす病気だ。去年日本で相次いだデング熱も、ネッタイシマカなどの蚊がウィルスを運んでくる。
文明生物である“ホモ・サピエンス”の最大の脅威は、たった数ミリ程度の大きさしかない虫なのだ。
しかし、この度の、北里大・大野智特別栄誉教授のノーベル医学生理学賞受賞は、数億人にのぼる人々を、マラリアの脅威から救ったという人類史に残る大きなニュースだ。
この、人類と蚊の果てしない“戦争”によって、人類もそのテクノロジーを発達させている。その歩みを見ていこう。
Next 蚊の「撃墜」に立ち上がった世界的企業