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【人類と蚊・中編】NO MOREデング熱!途上国の命を救う鍵を握る「雑貨屋」

企業と雑貨屋「ワルン」

インドネシアの防虫用品市場で存在感を見せているのが、日系メーカーのフマキラーである。

フマキラーの現地ビジネスは、貧困層の市民を主な対象にしたものである。

だがそれは、貧しい人々から少ない資産を搾取するというニュアンスでは決してない。それどころか、フマキラーはインドネシア市民の“命”を守っているといってもいい。

同社の製品は、現地市民の間でも評判が良い。蚊取り線香一つ取っても、巻きの幅が均一で煙が少ない。他社の製品には作りが非常に雑なものもある中、フマキラーはやはり別格だ。

だが、どんなに素晴らしい製品も消費者に買ってもらわなければ意味がない。そして防虫用品というものは、農村部や地方島嶼部の市民にも普及させなければいけないという絶対条件がある。

最低法定賃金がようやく200ドルに届いたインドネシアの首都ジャカルタだが、農村部はそうではない。

月に50ドルほど稼げばまだいいほうで、中には20ドル程度がやっとという農家も存在する。そういう家にも蚊取り器具を買ってもらおう……、というのは至難の業なのだ。

鍵を握るのは、どの集落にも必ずある2、3軒は必ずある、雑貨屋としての機能を持つ個人商店である。インドネシアではこれを『ワルン』と呼ぶ。『ワルン』は、卸売を担当する『グロシール』と常につながっている。

ヒットしている商品があると知れば、『グロシール』に「この商品をウチでも扱いたいんだが、在庫はあるか?」と相談に来る。

だからメーカーの営業社員は、必ずワルンに足を運ぶのだ。