PHEVは今後も増える?
では、PHEVは今後も増えるのだろうか?
<出てくると思いますよ。ホンダでもいろいろと考えています。ただし、やはりバッテリー容量が大きくなる分、価格は高くなってしまう。その辺りは、お客様にどう価値を提供できるかや、お客様がその価値を認めてくれるか次第ですね。
あと、問題は世界的な排ガス規制。
欧州では、2020年に従来よりかなり厳しいC02規制が始まります(各メーカーが販売した新車の総平均CO2値を130g_CO2/km以下から95g_CO2/km以下へ)。そのために欧州メーカーは、EV・PHEVなどを作らざるを得なくなっています。
また、アメリカでも、カリフォルニアで施行されているZEV規制(CO2排出量に関する厳しい規制)が、今後は全米に広がっていくでしょう。
日本でも、COP21(地球温暖化対策の国際会議、12月にパリで開催予定)次第では、さらに規制が厳しくなることは十分にあり得ます。
こういった規制は、要するに、前にも言ったように“化石燃料を燃やすな”と言っているようなものです。そうなると、基本的にガソリンエンジンを使っているPHEVは、そもそも法規制に要求されていることの完全な答えにはならないんです。
もちろん、しばらくの間は、EVを1台普及させるよりも、数的に多いガソリンエンジン車の燃焼効率を上げる(燃費向上の)方が、トータルのCO2排出量は減ります。だから、当面の間はガソリンエンジン車の需要は変わらないでしょう。
一方で、ガソリンエンジン車の燃費や排ガス排出量の改善は、もう限界に近いところまで来ていることも確かです。
エンジンは雑食なので、ガソリンだろうと、水素だろうと、アルコール(バイオエタノール燃料)でも燃えるわけです。水素を使う内燃機関は、NOXは出るけれどCO2は出ない。
エンジン自体がなくなると思いませんが、ガソリン車を広めることは、間違いなく求められていないと思います。>
最終的にはEVとFCV?
では、最終的に行き着くのはEVとFCVなのだろうか?
<EVに乗るとガソリン車には戻れないという人も多いですね。どんなクルマでも高級車に感じられる(笑)。
前にも言いましたが、(近距離を走る)コミューターとして考えれば、家などで電気を充電できるのでインフラもある。
(超小型モビリティという新カテゴリーを作るという)国交省の認定制度の動きは、これも前述の通りまだ読めません。でも、国も2020年の東京オリンピックを見据えて、何らかのことを考えていると思います。
FCVは、まだまだ(水素ステーションなど)インフラの整備に時間がかかるでしょうが、(国の推進などで)追い風は吹いています。
今後は、(MIRAIを販売した)トヨタさんやホンダ以外でも、いろんなメーカーさんが出してくるでしょうね。>
前編でも紹介した通り、クリーンで効率がいい“クルマ”だけでなく、水素ステーションなど“エネルギーも作る”ことで、新しい社会の構築を目指すホンダ。
<我々の大義は、お客様の生活に、新しい価値を創造させてもらうことです。そのためには、先陣を切ってやったことが真似されても構わないですね。>
と語る岩田氏。
自動車メーカーの枠を超えたホンダの新たな挑戦に、今後も注目したい。
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