トヨタ自動車は東京都内で2014年6月18日、次世代テレマティクスサービス「T-Connect」を発表した。
2002年に国内で立ち上げ、すでに累積400万台に装着している「G-BOOK」を一新する。
世界初の試み
「T-Connect」の最大のウリは、音声対話サービス「エージェント」だ。ドライバーは、まるで会話しているようなイメージで車載器を操作できる。
これは、現在トヨタ車やレクサス車ですでに採用しているアメリカの音声認識開発企業のニュアンス社の技術に、トヨタが独自開発した領域を加えたもの。「G-BOOK」での初代「エージェント」では、車載器内のデータのみを活用していた。
対して「T-Connect」では、クラウドサービスのトヨタスマートセンターと車載器を接続し、多様な情報を高速に処理する。
これはトヨタが2011年から利用している、米マイクロソフト社のクラウド「AZURE」で実現した。
また、「エージェント」が対応できない内容が発生した場合、有人のオペレーターに引き継がれ、ドライバーにとって円滑なサービスが継続される。
こうしたキメの細かいテレマティクスサービスは世界初だ。
さらに「エージェント」では、先読み情報サービスがある。
走行状況を管理する車内情報網のCAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)からの情報を、ビッグデータとしてトヨタスマートセンターに送信。
そこに交通情報や天気情報を加味して、「エージェント」からドライバーに最適ルートを推奨する仕組みだ。
アプリ開発をサードパーティ参加型に
「T-Connect」では、トヨタスマートセンター上に「T-Connect アプリストア」を設置。ドライバーは好みのアプリを車載器に直接ダウンロードできる。
このアプリは、TOVA(トヨタ・オープン・ヴィークル・アーキテクチャー)として、サードパーティのコンテンツ事業者が参画可能な環境とした。
6月18日付けで、コンテンツ提供希望者向けサイトを公開した。
コンテンツ事業者はトヨタ側から認証を受ける際に低額の費用がかかるが、いわゆるロイヤリティは発生しない。また、コンテンツは無料、または有料での販売が選択でき、有料販売の場合、トヨタは20%の業務代行手数料を受け取る。
大波が押し寄せるなか、トヨタの動きは当然の選択
テレマティクスは、テレコミュニケーション(情報通信)とインフォマティクス(情報工学)の融合を指す造語。ここ数年、スマートフォンとクラウドの発達により、自動車メーカーは大手ITメーカーとの連携を強めてきた。
アメリカではフォードが2013年から、車載器向けのアプリサービス開発用のSDKを公開し、サードパーティの参加を開始。GMも2014年1月に同様のサービスを発表し、今夏過ぎに本格的な運用を開始する予定だ。
また、スマートフォンと車載器との連携も加速している。
アップルの「CarPlay」、グーグルが主導するコンソーシアム「OAA(オープン・オートモーティブ・アライアンス」等の動きが活発化。
トヨタは、こうした米大手ITと連携すると同時に、車載器を中核とした独自サービスも進めなければならない状況だ。