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超音波を利用!MITが薬物吸収を早める新テクノロジーを開発

課題解決のため吸収スピードが速い方法を模索

論文は10月に刊行された、学術専門誌『Science Translational Medicine』誌に掲載された。

論文の筆者のひとりで、MITにあるがん専門の研究施設『Koch Institute for Integrative Cancer Research』の研究員であるGiovanni Traverso氏は、以下のように語っている、

<私たちは薬の投与の仕方を変えたのではない。私たちが変えたのは、処方のために(器具が体内に)とどまる必要のある時間だ。>

現時点では、さきほど例示したような胃腸系の疾患の治療には、浣腸が用いられるのが一般的だ。

薬が吸収されるためには、何時間も浣腸器を維持しなければならないが、当然のことながら軟便・下痢を伴う患者にとって非常に難しいと言える。

こうした課題を乗り越えるために、研究チームはもっと吸収スピードが速い方法を模索し続けたという。

そうしてたどり着いたのが今回の発表で、治療や研究技術の改善を可能にするなど、臨床面でも研究面でも非常に価値があるそうだ。

 

「空洞現象」が薬物伝達の質を高める

論文の筆者のひとり、Koch Instituteの教授・Robert Langer氏は、30年にわたり薬物伝達の質を高めるために超音波を利用する可能性を調査してきたという。

1995年には『Science』誌で、超音波が肌を通して薬を伝達することを報告したが、今回まで胃腸管については研究がなされていなかった。

超音波は『空洞現象(キャビテーション)』として知られるメカニズムによって薬物伝達を改良する。

『空洞現象』とは、液体の流れの中で圧力差によって空洞(泡)が発生する物理現象のことを指す。

超音波の放射を受けた液体は極めて小さな泡を形成し、この泡が破裂し『マイクロジェット』と呼ばれる作用を生むことで、組織内へと通り抜け薬物を押し込むという仕組みなのだ。

既にマウスやブタを対象に実施した実験では、超音波によって吸収速度が高まり、大腸炎の治療に効果があるという結果が出ているという。

このアプローチが最初のターゲットとしているのは胃腸の炎症系疾患だが、結腸癌や胃腸管の感染症にも用いられる可能性があるという。

現在、研究チームはいくつかの追加テストを行い、超音波機器を最適化するなど、人間にテストする準備を進めているとのことだ。

今後の研究の発展と、現場での応用を待ちたいところだ。

 

【参考・画像】

Using ultrasound to improve drug delivery – MIT News

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