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【商倫理と日本・後編】和を以て貴しとなす

「和」を重要視する民族

日本人は引き分けが好きな民族だ。甲乙つけがたいスポーツの試合を見ると、「両方を勝者にしよう」という心理が自然と働く。

実はこういうことはプロボクシングのインターナショナルコミッションでも話題に挙がっていて、「日本人のジャッジはイーブン判定が多い」という評判は昔から度々聞かれる。

ボクシングの試合は1ラウンドごとの採点だが、相当に実力が拮抗して意見が分かれるラウンドでも、ジャッジは必ず優劣をつけなければならない。日本人はそれが苦手だ、というのだ。

やはり日本人は、かつて聖徳太子が指摘したように「和を以て貴しとなす」人々である。

逆に言えば、ダイエーの中内功は日本人像にはまらない人物だった。いや、「日本人像にはまらない」と周囲に見られた人物と言ったほうが正しいか。

安い商品を大量に仕入れ、薄利多売方式で売り投げた。しかし、それは商人の間の“和”にヒビを入れるものだった。だからこそ、幸之助と対立したのだ。

 

商倫理としてどちらの理屈が正しいか、ということをこの記事で問うているのではない。

日本では「和を以って貴しとなす」勢力とそれに反抗する勢力が鍔迫り合いを繰り返し、それがむしろ業界発展を促しているという側面がある、ということを書きたいのだ。

批判者がいるからこそ、人は改善の努力をする。商人同士のイデオロギー抗争は、決して悪いことではない。