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2016年3月9日は皆既日食の日。観光業 「天体ドラマ」で地方活性化へ

格差是正の切り札

インドネシア政府は、観光PRに力を入れている。

観光当局が打ち出した『Wonderful Indonesia』キャンペーンのポスターは、インドネシアの周辺諸国でもよく見られるようになった。シンガポールの地下鉄車両にも広告料を払い、まるまる一両このキャンペーンのポスターで埋め尽くすという手段にも出ている。

しかも好都合なことに、2016年の皆既日食帯はインドネシアにしか通らない上に、ジャワ島から離れた地域での観測になる。ジャカルタでも日食は見られるが、それは部分日食だ。

なぜ、地方部での皆既日食が“好都合”なのか?

インドネシア政府は、地方部への富の分散を目論んでいるからだ。たとえば先日日本でも報道されたインドネシア高速鉄道計画は、最終的に中国案が採用された。

これはインドネシア政府が、国庫を高速鉄道に投じたくないという理由が一端としてある。もっと詳しく言えば、「ジャワ島とバリ島以外の地域に国庫を使いたい」ということだ。

要は地方格差是正である。それは観光分野でも同じだ。インドネシアへの観光といえば、今まではバリ島とジョグジャカルタにほぼ一極集中していた。インドネシア政府はそれを分散させたい。

その視点で見れば、皆既日食は願ってもない好機だ。

何しろ皆既日食帯の下に位置する都市はスマトラ島パレンバン、カリマンタン島パランカラヤとバリックパパン、スラウェシ島のパレ、そしてマルク諸島に位置するテルナテ。パレンバンやバリックパパンならば、資源関係の会社の駐在員には馴染みの町かもしれない。

だがそれ以外の所はお世辞にも“外国人が行きたがる場所”とは言えない。

それが皆既日食という、ほんの3分も続かない天体現象のおかげで状況が変わるのだ。これほどありがたい話はない。