国際競争力のある交通社会に向けて
原動機付き自転車はもともと自転車に原動機(エンジン)を装備したところからはじまった自転車の発展形だ。
そのため1980年代までヘルメットの着用義務はなく、購買の手軽さとあいまって主婦の足として広まった。
ところが重大事故が多発したことからヘルメットの着用義務が生まれ、髪型が乱れるといった理由から女性から敬遠されてしまった。現在主婦の足の主力は自転車、特に電動アシスト付き自転車へ移っている。
普通免許に付帯する原付免許は排気量50cc以下の原付一種を運転可能だが、多くの海外地域では125ccクラスまで運転可能だ。
そのため二輪メーカーは海外向けには125ccクラスを、国内向けに50ccクラスを開発、販売する構造となっている。
日本の原付市場が縮小、新興国を中心とした125ccクラスが主流な現在において、日本向けの50ccエンジンを搭載したモデルを用意するのはメーカーにとって負担となっている。
二輪メーカーは共同で、現在小型二輪免許が必要な原付二種、125ccクラスまで普通免許の付帯免許で運転できるようにと国へ嘆願している。これが叶えば国内専用の50ccモデルを作る必要がなく、効率よい生産が可能だ。
また、原付二種モデルは制限速度が30km/hではなく法定速度の60km/hとなる、二段階右折が不要など、高速道路に乗れない以外の不便はない。
市街地での足としては最適で、保険も自動車保険についているミニバイク特約が使えるため維持費もミニマムで済むのがメリットだ。
もう一つの理由として、自転車が改めて車両として扱われ、車道を走行するように道路交通法が変わったことがある。
自転車は免許不要、ヘルメット不要、登録料や税金といったものがかからないことから手軽な足としてより普及している。特に速度が出るロードバイクがここ最近人気だ。
しかし、この自転車には制限速度がなく、実質上原付一種の30km/h制限を越えて走行可能だ。また重大な違反を2回行ったものに安全運転講習を義務づけしたが、免許制度ではないために実効性や抑制力は疑わしい。
つまり、車道での自由度や、購入・維持コストを考慮すると原付一種が、明らかに自転車に対し不利なことが明白だ。この点からも原付を125ccクラスまで引き上げるのは妥当であろう。
またフットプリントの小さなパーソナルモビリティ、具体的にはセグウェイやその類似品は日本では公道走行が認められていない。
海外では電動スケートボードなど、ベンチャー企業が自由な発想で様々な形態のパーソナルモビリティを提案、販売しているが、日本では法規の壁に阻まれて、産業育成という面でも後塵を拝している。
世界にさきがけて超高齢化社会を迎える日本において、パーソナルモビリティの拡充は必至の課題である。
車両区分や免許制度、歩道と車道の区分けを含め、大きく見直す時期がきているだろう。
【参考】
※ 原付二種スクーター 虎の巻 – バイク スクーター – ヤマハ発動機株式会社
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