経済界の勘違いと見込み違い
そもそも大学生が本来勤(いそ)しむべき学業に、より専念できることを目的として、今年からの採用面接解禁時期を8月にずらしたはずだった。
ところが蓋を開けてみると、中小企業の内定辞退者が増加してしまった。
経団連の8月方針に縛られていない中小企業は従来通りの採用面接を行い内定者を決めていったため、8月から大手の採用面接が遅れて始まったことで、学生達が中小企業の内定を辞退するケースが増えてしまったと言うことだ。
まぁ、これは予想できたことだから、慌てている中小企業側の読みが甘すぎたという話しではある。
また、8月からと決めていたとはいえ、これは経団連に所属する一部の大手企業を対象とした、罰則の無い紳士協定であったため、実際には抜け駆けする企業がいたり、そもそも外資系や中小企業などは縛られることなくこれまで通りの採用活動をしてしまった。
その結果、遅れる大手に引っ張られることで、大学生の就活期間がかえって長期化してしまうという本末転倒な事態になった。
これらの理由から、やっぱり2ヶ月前倒ししようということになったのだ。
しかし、8月に変更した矢先に再び6月への変更があるとは予想できるはずもない学生達は、既に留学してしまっていたり、卒論や実地研修などのスケジュールを組んでしまっている。
また、地方から移動せねば成らない学生達も、効率良く移動せねば費用負担が大きくなるため、就活全体のスケジュールを見直さなければ成らなくなるだろう。
このように就活スケジュールの前提がころころ変わるようでは、大学生は3年までに学業の目処を付け、4年からは就活中心に動けるようにしなければならない、というおかしなことになる。
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