コスパの高い教育改革と地域社会作り

こうして市民が主導して教育にあたることにより、現役教員の負担は大きく軽減しているようだ。
本来なら必要ではないことに時間や精神を疲弊されることなく、本来の業務に集中できるようになった。
そして講座の受付やサポートなど手伝いながら、子供たちの学校以外での姿や親たちの様子も知ることができる。地域と学校が分け隔てなく情報を共有することは、子供にとっても大人にとっても非常に意味が大きいだろう。
学校や地域社会に一方的に仕事や責任を押し付けるのではなく、融合させることにより効率化を図る。本来、地域社会があるべき姿を豊後高田市は再現しただけなのかもしれない。
この21世紀塾には年間1,500万円しか運営費がかかっていない。どこの地方でも持っているハコモノや、人材など眠っている資源をフル活用しているだけで、こんな奇跡のような結果が出てしまっている。もう驚くとしか言いようがないだろう。
もっと大きな効果は、これが他の市町村へも波及し始めたことだ。豊後高田市の奇跡を見て「あれなら自分たちにもできる」と思った県内の自治体が出始めた。
当然すべては真似できないだろう。豊後高田の奇跡は、自治体の大きさなどにもよるところが大きい。もし豊後高田に大手予備校など民間有力企業があったら、こういう結果にはなっていなかったかもしれないからだ。
でも、地方の田舎町が坐して死を待つだけの存在ではないことを、豊後高田は身をもって示した。
地方創生や一億総活躍社会といった言葉が躍る今の日本社会にとって、何か大きなヒントを与えてくれる現象なのかもしれない。
【参考・画像】
※ Matej Kastelic / Shutterstock
※ lazzarone / PIXTA
※ m.Taira / PIXTA
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