遺伝子操作した細胞「UCART19」を利用
化学療法は多くの白血病患者に施され、効果を上げることの少なくない方法だ。しかし、薬物療法に対して抵抗力がある場合など、がん細胞が攻撃的な形態の場合にはうまくいかないことも。
2014年6月に生まれたレイラちゃんは、誕生時は健康だったものの、生後わずか14週間で急性リンパ芽球性白血病と診断。
すぐさま高度な医療体制が整うGOSHへと移り、すぐに化学療法を開始した。数ラウンドの抗がん剤治療や骨髄移植が行われ、一度は良い方向に向かったと思われたが、7週間後にがんの再発が発見された。
そこで、GOSHのチームは、もはや緩和ケアくらいしか処置が残されていないと思われたレイラちゃんに対し、遺伝子操作した細胞『UCART19』を使うことにしたのだ。
「分子ツール」を用い遺伝子をリプログラミング
この治療方法は、『T細胞』として知られる免疫細胞に、白血病と戦う新たな遺伝子をに加えることで成り立っている。
非常に正確な“ハサミ”のようにはたらく『分子ツール』を用い、特定の遺伝子を編集することで、細胞が強力な薬から不可視な状態になり、また白血病細胞だけをターゲットにするようリプログラミングできるということだ。
当時、GOSHの医師らが進めるこの技術は、臨床試験前テストの最終段階を迎えていた時期だった。
しかし、レイラちゃんについて知らせを受けた後、チームは新しい処置方法を行う特別許可を与えられたのだ。