IT/テック

いまさら聞けないAI(人工知能)のさまざまな誤解

50年の停滞を破るディープラーニング

学習すると、いろんなことができるようになる人工知能?

山川先生、

<そうです。だから『汎用人工知能』は、実は初めからいろんなことができるわけじゃないんです。人間でも、子供のうちはいろいろと失敗しながら学ぶじゃないですか。

で、大人になると、子供の頃に学んだことと、大人になって学んだことを組み合わせることで問題解決をしていく。それと同じです。

今あるAIは、『ナローAI』と呼ばれています。ナロー……、(できる範囲が)狭いAIってことですね。

例えば、将棋のソフトウェアは将棋だけ、買い物にはいけない。当たり前だけど、プロの棋士は買い物にも行けますよね。人間は「成長するといろんなことができるようになる」というのが、今のAIとの大きな違いです。

 

実は、1960年代にAIが考え出された時は、科学者たちは、人間のようになんでもできるAIを作りたいと思っていたんです。ただ、難しくてできなかった。

なぜか? 例えば、今使われている将棋のソフトウエアは、「この場合はこれら3つのコマに着目しなさい」といった感じで、人間が細かく決める必要がある。

『特徴量』とか『表現獲得』と言うんですが、仕組みは計算機と同じだから、何の値について計算するか人間が決めて、プログラムを書かないと動かないんです。

だけど、最近出てきた『ディープラーニング』を使えば、いずれ将棋のどの『3つのコマに着目』するかを、コンピュータが自動的に探せるようになるのではないか? と言われています。

 

もしそうなれば、今まで人間が作らないと動かなかった部分が、自動的に作られるようになる。それにより、いろんな多面的な問題解決が自動的にできる可能性があるんです。

まだ、あらゆる局面でできているわけではないですが、AIが考え出されてから『ディープラーニング』が出てくる50年間は、厚い壁にあたっていた感じなんですよ。

もちろん、ある程度は進歩はしましたけどね。だけど、1990年代になっても2つの問題が解決できませんでした。

ひとつは、「どういう風に表現を作るか」といったことにも関わるフレーム問題。もうひとつは、「言葉と実際のものを繋げる」シンボルブランディング問題です。

例えば、「シマウマ」と言った時に、“体の表面に縞がある馬”といった結び付けができなかったんです。

『ディープラーニング』の登場により、そういった問題へアタックできる状態になったと言えますね。>