クラウドよりも紙の上に
イギリスBBCが、そんな“もう一つの日本”についての記事を配信した。これが非常に興味深い内容になっているので、幾ばくか引用させていただこう。
<日本はロボットやハイテク機器に夢中な国、製造業の技術革新で最先端を走る国として知られる。だが一般のオフィスにおけるテクノロジーの現実は、このイメージから驚くほどかけ離れている。
(中略)
そこで日本の企業は、オートメーション化の波に抵抗するためにひたすら守りを固め、機械ではなく人手を極力使おうとしているように見える。ファックスにしても、届いた文書をいちいち取りに行く人が必要だ。(BBC 2015年11月6日付記事より引用)>
インターネットが世界の隅々まで普及し、誰しもがSNSやクラウドサービスを利用する中、日本企業はなぜか未だにアナログ媒体を重要視しているという内容だ。
そういう意味で日本が保守的な国だという指摘は、確かにその通りだと筆者は考えている。
例えば、日本には“ビジネス文書”という習慣がある。「すべてのやり取りを定型化された文書でやらなければ、先方を怒らせてしまう……」という発想が日本人の脳内にあるのだ。
だから、他社の重役に対して「例の書類はこのクラウドに保存されていますから、確認お願いします」とは言えない。その書類をプリントして丁寧なビジネス文書の挨拶状を添え、封筒に詰めなければならない。
「それが社会人に必要不可欠なマナーだ」という台詞を聞けば、シリコンバレーの住人は大笑いするだろう。
だが日本人は真顔で沈黙してしまう。それが我が国日本の特徴なのだ。
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