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インドネシアのレジ袋有料化は、ゴミ削減と自然環境回復の足掛かりとなるか?

膨大なレジ袋消費量

バリ島随一の大都市デンパサールでは、かつてカルフールやKマートで、“レジ袋有料化”が試みられたことがある。

しかし、いずれも短期間で潰えてしまった。店側の予測以上に客足が途絶えてしまったことや、会計時にトラブルが頻発したからだ。

インドネシアの多くの人々にとって、商店で無償提供される使い捨てレジ袋は“当然のサービス”だと考えられている。

 

ある調査によると、インドネシア人は国民一人当たり年間で約700枚ものレジ袋を消費しているという。これは日本の約300枚やEU平均の約170枚(旧西側諸国平均は100枚以下、旧東欧圏が300枚超)を遥かに超える数字だ。

欧州(約5億人)で年間に消費される850億枚に対し、インドネシア一国(約2.5億人)で1,750億枚という計算になる。

 

消費量も問題だが、それ以上に深刻なのがごみ処理問題だろう。

インドネシアのほとんどの地域では、ごみは分別などされていない。

業者に回収され埋立地へ運ばれるならまだマシなほうで、多くのごみが無法図に廃棄されているのが現実だ。

インドネシア,ゴミ問題,レジ袋有料化
側溝はゴミ捨て場。雨が降るとゴミは川に流される。これが洪水の原因にも

 

ペットボトルやびん・缶などは、これらを拾い集めて生計を立てている人たちも多いのだが、レジ袋やビニールは誰にも拾われることなく、全くリサイクルされていない。

バリでは夕方になると家々から煙が立ち昇る。のどかな田園風景を背景に立ち昇る無数の煙は、まるで万葉集に歌われた古の日本の姿のようで、とても美しい。

しかし、その煙を間違っても吸ってはいけない。それは家庭のゴミを燃やす煙で、その多くはレジ袋などビニールやプラスチック製品だ。

また、ビニールを食べてしまい健康被害に陥ったり窒息死してしまう家畜も後を絶たない。

驚くことにゴミの埋立地で放牧されている牛なども多くいて、これらゴミを食べて育った家畜も、普通に食肉用として出荷されているという。