5月19日、ダイハツ工業は軽自動車「コペン(COPEN)」の新型車を発売した。
新型コペンの最大の特徴は、ドア以外の外板に樹脂を組み合わせたことで、購入後もスマートフォンのカバーのように、外側のボディーパーツを自由に着せ替えて、ユーザー好みのデザインにカスタマイズできることにある。
今回発表されたデザインは「コペンローブ」と「コペンX(クロス)モデル」だ。但し「コペンXモデル」の発売はやや遅れ、この秋に予定されている。
19日から発売を開始した「コペンローブ」は消費税込みで179万8,200円からの価格となる。
軽自動車でスポーツタイプのブームは再来するか
新型コペンは新骨格構造「D-Frame」で高い剛性を骨格のみで実現した。また、旋回性能を高めるためにサスペンションも最適化している。その結果、先代モデルよりもスポーツ走行が容易になっている。
トップは電動開閉式を採用している。エンジン排気量は658cc、64馬力で、無段変速機(CVT)タイプとマニュアルタイプが用意されている。
一方、スズキも今年は多目的スポーツカー(SUV)である「ハスラー」を発売しており、ホンダも「ビート」の後継者を来年投入する計画を持っている。
各社、軽自動車でスポーツ・レジャー用途の車の再ブームが到来する事を期待しているようだ。
購入後の着せ替えでユーザー好みにカスタマイズ
フルモデルチェンジされたコペンは、内外装着脱構造「DRESS-FORMATION」を採用し、バンパーやボンネットなどの13個の外板パーツを樹脂製にし、ボルトを使って取り外しできるように設計されている。
標準で8色のボディーが用意されているが、購入後にアクセサリーメーカーが開発する様々なデザインや色のボディーに着せ替える事が可能だ。
ダイハツ工業の藤下修チーフエンジニアが言うには、若い世代のハートに響かせるため、スマートフォンのカバーのように外観の変更を可能にしたという。
ラブ・ローカルというコンセプトは次世代販売スタイルになるか
ダイハツ工業では、コペンの発売を機に、新たな営業戦略の展開を開始した。よりユーザーに近い会社を目指そうというのだ。
例えばオーナーには工場見学をしてもらうことで、より所有車への愛着を強め、会社への親近感を抱いて欲しいとしている。
また、全国70の販売店に「コペンサイト」という認定ショップを設置し、「コペンスタイリスト」という認定スタッフが常駐してコンペの楽しみ方を提案したり、ツーリングなどのイベントを実施するという。
同時に「コペンサイト」ではコペンのオーナー同士が交流できる場としても開放される。
このような地域密着型営業戦略を「ラブ・ローカル」というキーワードで展開することになり、次世代の自動車販売スタイルとなっていくかもしれない。
軽自動車増税への準備と低燃費競争
2015年4月には軽自動車増税があるため、軽自動車業界には厳しい環境となっていくであろう。それに対応するためにも、各社は個性的な新車投入で売り上げを伸ばすべく努力している。
ダイハツではコペンを含めた6車種を投入して市場の活性化を図るとしている。
スズキは既に1月に「ハスラー」というオレンジやピンクなどのカラフルなSUVを投入し、消費増税後の4、5月も前年同期比で10%の販売台数を増やしている。
そしてホンダは来年、オープンカータイプのスポーツカー「S660」を発売する予定だ。
また、より環境負荷を小さくすべく、低燃費競争も激しくなっている。スズキは「アルトエコ」でハイブリッド車を除けば最高となる1リットル当たり35キロを実現した。これに対抗すべくダイハツは、現在1リットル当たり40キロの低燃費を目指している。
軽自動車業界は新たなカーライフスタイルを提案する段階に入ったようだ。