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スポーツ界とドローン「活用」と「事故」の狭間に見えるもの

衝撃のドローン墜落事故

先日、イタリアで開催されたアルペンスキーワールドカップにおいて、驚愕すべき事故が発生した。

スキー男子回転の競技中、撮影用ドローンがフィールドの只中に墜落したのだ。この時競技を行っていたのは、ソチオリンピック銀メダリストのマルセル・ヒルシャー(オーストリア)。

衝撃の映像が、ここにある。

 

ドローンはヒルシャーのすぐ背後に落下し、粉々に砕け散った。もしヒルシャーのタイムが若干遅かったら、墜落の巻き添えを食らっていたに違いない。

このドローンを飛ばしていたのは、テレビ局から業務委託を受けた業者である。要するに“ドローンのプロ”だ。にもかかわらず、こうした不祥事を起こしてしまった。

国際スキー連盟はこの事故を受け、「ドローンの安全性が確立されるまで」会場での飛行を禁止する措置を取った。

 

否定できない落下の危険性

スポーツは、観る者の興奮を喚び起こす。選手が躍動するダイナミックな映像は、テレビ局が常に欲しているシーンだ。

野球やサッカー、ラグビーなどの球技、そしてスキーやモーターレースのような、コンマ数秒を競う種目は、上空からの映像を眺めることで、より一層の面白みが得られる。サーフィンやスノーボードなど、競技としてだけでなく一種の“芸術”としてそのパフォーマンスを楽しむことができるスポーツも同様だ。

プレイヤーがどのように動いているかを、一目で確認することができるからだ。

だが、ドローンというものが、まだまだ墜落の可能性が否めない物である以上、操縦者が誰かということにかかわらず危険が伴う。

2015年9月に開催された、テニス全米オープンでも、客席にドローンが落下するということがあった。それを飛ばしていたのは、心ない観客である。

 

選手からして見れば、迷惑以外の何ものでもない。

ドローンという存在のせいで、パフォーマンス低下を招いてしまうとしたら、国際スキー連盟のように「ドローンの安全性が確立されるまで使用禁止」という決定を下すしかない。