台風の力は日本の総発電量の約50年分

--台風の力を電力にできるとはすごいですね。
清水氏、
<可能性はあります。しかも、国土交通省の試算によると、台風一つのエネルギーは「日本の総発電量の約50年分」に相当するそうです。もちろん、その全てのエネルギーを電力に替えることは難しいでしょうが、台風発電が実現すれば、一部でも電力として活用することが可能になります。
また、日本だけでなく、フィリピンやベトナムなど、海外にも台風やハリケーンが発生する国々は多い。そういった国々でも、安心して設置できる風力発電として、非常に有効ではないかと考えています。>
きっかけは福島の原発事故
--元々、清水氏は東京大学大学院修士課程を修了後、大手FA機器メーカーのキーエンスでエンジニアを務めていたとのことですが、それがなぜ、風力発電メーカーとして起業したのでしょうか?
清水氏、
<2011年に起こった福島の原発事故がきっかけですね。現場に居合わせたわけではありませんが、テレビで目の当たりにした事故状況は言わずもがなショッキングで、危機感が尋常ではありませんでした。
また、直感的に、自分たちの世代が生きている間に事故の後始末をつけることは難しいのではないか、とも思いました。次の世代に自分たちのツケを払わせることになる、と。
私自身は独身ですが、周囲の知人や友人の子供と触れ合うことも多く、次の世代のために、この原発依存の社会から脱却し、再生可能エネルギーにシフトしていかなければダメだと強く感じたんです。
そこで、個人的に様々なアプローチを模索した結果、風力発電に行き着きました。
太陽光発電の場合、国土が小さい日本ではなかなか発電量がまかなえない。やはり風力だな、と。>
『垂直軸型マグナス風力発電機』は、まだサラリーマンだった2011年に発案。
2014年10月に、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のスタートアップイノベーター(SUI)に選ばれ、補助金を受ける。
前述の通り、2014年10月にチャレナジーを設立し、同年11月には以前FUTURUSでも紹介したTOKYO STARTUP GATEWAY 2014でファイナリストにも選ばれている。

清水氏、
<今はまさに“エネルギーシフト”へと向かう時代の転換点ですよね。
私にとっては、世の中になかった新しいものを作ることで、エンジニアとしての自己実現ができるチャンスの時でもあります。「子供のころに憧れた(蓄音機や電球を発明した)エジソンのようになれるかもしれない」という気持ちもあります。>
Next 今夏、満を持して沖縄実験