今年夏、実験機を沖縄でテスト

--実験機も上手く稼働し、順調のようですが?
清水氏、
<まだまだこれからです。
『垂直軸型マグナス風力発電機』は、私の以前にも三菱重工や関西電力などの大手企業が特許出願していますが、成功例はありません。実は、風車として回すこと自体が大変なんです。
我々は、風洞実験機の円筒翼へ(動画のように)板を付けることで、効率よく回すことに成功しました。詳しくは、特許出願中なので秘密ですけどね(笑)。
次は、今年の夏に、沖縄にフィールド実験機を設置して、“本物の台風”で発電する実験を行う予定です。
フィールド実験機は、大きさを風洞実験機の約2倍、3m×3mくらいにし、1kW程度の発電を目指しています。>
クラウドファンディングでも成功

ちなみに、沖縄での実験資金の一部を集めるために、現在クラウドファンディング『Makuake』でキャンペーンも実施中だ。目標金額2,000,000円はあっという間に到達。注目と期待の高さを実証している。
清水氏、
<沖縄は、6月頃から台風がくるので、5月には実験機を設置したいですね。逆算すると、時間があまりないですけど(取材は1月下旬)。
実験が成功するかどうかは、やってみないと分からない。自然が相手なので、最初はなかなかうまくいかない可能性もあります。とにかくやってみるしかありませんね(笑)。
世界ではまだ約13億人、5人に1人は電気がない生活をしていると言われています。日本だけでなく、世界中の人たちに電気を届けるのに、これ以上原発でやるわけにはいかない、という想いがあります。
例えば、先述のフィリピンは7,000の島からなり、その電力事情は非常に複雑。電気は通っていても、その電気代は(収入が大きく異なるのに)日本とほぼ変わらないため、電気を享受できず、“実質無電化地帯”となっている場所も多くあります。
しかし、各島において『垂直軸型マグナス風力発電機』でそれぞれ発電し、まかなうことができれば、災害でしかなかった台風が“エネルギー源”として活かされることになります。>
再生可能エネルギーに風力、しかも“台風を使う”という斬新なアイデアは実を結ぶか?
次回【未来予想図#010】では、更に具体的な将来のビジョンについて迫る。
【取材協力】
【参考・画像】
※ 世界初!台風エネルギーを電気に変える『台風発電』に、チャレナジーが挑戦! – Makuake
※ Teun van den Dries / Shutterstock
【動画】
※ チャレナジー_垂直軸型マグナス風力発電機_風洞実験用試作機 実験動画 – YouTube
【関連記事】
※ 日本発ペロブスカイト太陽電池に米大学が挑戦状!ハイブリッド構造で発電効率向上
※ 蓄電こそが世界を救う?「フロー電池」を6割もコストダウンできる技術が登場