狩猟家と林業家の2つの視点を活かす活動

10歳の時から、猟師のお父さんの後について山を歩いてきた黒田利貴男さんは、南伊豆の山を知りつくすプロの猟師であり、林業家でもある。その両方の経験は、野生獣の管理や活用に留まらず、それを囲む山と森、海といったつながりも考えて活動する視点を生み出している。
「山や森が荒れれば、海も荒れる」
山と海の両方に恵まれている南伊豆の自然を見てきた黒田さんの言葉には説得力がある。
そのため、その活動は、森林資源の活用、耕作放棄地の再生、狩猟者や加工処理の人材育成、自然を活用したエコツーリズムと幅広い。
最近では、都市部でも黒田さんの活動を応援する人が増え、環境イベントなどでの講演も増えている。また、シカの端肉を使ったソーセージは人気で、製造が追いつかないほどだ。南伊豆の木で作った炭で、シカ肉のソーセージを焼いて販売し、その売上で山や耕作放棄地を手入れするといった循環が、実際に生まれてきているのである。
やや強面の黒田さんだが、狩猟で鹿を撃たなければならない時は話しかけるという。
「どうして出てきたんだ? 森にいなくちゃだめじゃないか」と。
限られた自然資源の中で、野生動物とどう折り合っていくか、問いかけはこれからも続いていく。
【取材協力】
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