
太陽光発電システムの設置場所といえば、建物の屋根や屋上、遊休地などが一般的だが、近年は、道路に降り注ぐ太陽光をもエネルギーとして有効活用しようと、“道路のソーラー化”への試みが、欧米で広がっている。
その代表的なひとつが、ドイツのスタートアップ企業『Solmove(ソルムーブ)』だ。
2012年の創設以来、道路に設置可能な太陽電池内蔵型ソーラーパネルの開発に、取り組んできた。
どんな道路にも設置できる「フレキシブルなソーラーパネル」

『Solmove』のソーラーパネルは、その表面が耐久性の高いガラスでできているのが特徴。
四方八方から差し込む光をくまなく屈折させ、太陽電池に蓄積する仕組みとなっている。“太陽光エネルギー”から“電気エネルギー”に変換する割合、いわゆる“変換効率”は10~15%と、一般的な既存の太陽光発電システムと、同等の性能が担保されている。
また、このソーラーパネルは、8センチ四方のタイル型。歩道、自転車専用レーン、自動車道など、設置場所の大きさを問わず、フレキシブルに設置できるのも利点だ。
新たに建設される道路にはもちろん、既存の道路にも敷設できる。
『Solmove』では、ドイツのアーヘン工科大学やドイツ連邦道路交通研究所などの、優良な開発パートナーとともに、2017年夏までの事業化を目指し、研究開発をすすめている。
2016年夏には、ドイツの首都ベルリンで、公開実験が行われる見込みだという。
アムステルダムでは「太陽光発電できる自転車レーン」が誕生
欧州では、オランダの首都アムステルダムでも、2014年11月、世界で初めて、太陽光パネルでできた自転車専用レーン『SolaRoad』を敷設。
フランスでは、大手建設会社ブイグ(Bouygues)傘下のコラス(Colas)グループが、5年間にわたる国立太陽エネルギー研究所(INES)との共同研究プロジェクトを通じて、道路用ソーラーパネル『Wattway』の特許化に成功している。
また、米国では、2006年に創設されたアイダホ州のスタートアップ企業『SolarRoadways(ソーラー・ロードウェイズ)』が、歩道や自動車道に設置できるモジュール型の太陽光パネルを開発。
道路の中央線としても活用できるLEDライトを内蔵し、着雪や着氷を防止する機能を備えているのが特徴だ。
2014年6月には、クラウドファンディングで約227万ドル(約2.5億円)を資金調達したことでも話題となった。
私たちが、普段何の気なしに通行している道路は、人知れず進化いるのだ。
これらの研究開発によって、“道路のソーラー化”が実用化されれば、街灯や信号機などに必要な電力を、各道路に設置したソーラーパネルが発電する“エネルギー自給自足型道路”が、世界各地で実現できるかもしれない。
【参考・画像】
※ Solmove
※ SolaRoad
※ Wattway
※ llaszlo / Shutterstock
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