空前の猫ブームは何を意味しているのか。その社会的背景や経済効果については後述してみたい。
ところで猫の飼いやすさの一つはトイレのしつけだ。これは猫派の私が大いに実感するところだ。
我が家ではこれまで何匹もの猫と暮らしてきたが、いずれも綺麗好で、特にしつけた覚えも無いのに、ちゃんと所定のトイレで用を足すことにはいつも感心する。
ただ、トイレの掃除は人間の仕事で、こればかりはこまめにやらねばならない。
これをより効率良くするために、様々なトイレや砂が開発されてきたが、とうとう自動的に掃除をしてくれるトイレロボットが登場した。
米国発の猫用トイレロボット『キャットロボット Open Air』だ。
今回はそのアップデート版を紹介したい。
アップデートした猫用トイレロボット
『キャットロボット Open Air』の販売は、輸入販売を手がける株式会社オーエフティー(兵庫県川西市)が行っている。
旧バージョンでも米Amazonでは約1,000もの高い評価レビューを獲得していたそうだが、さらにその製品がアップデートされたのだ。
改良点の一つは、暗くなるとムーディーなナイトライトが点灯して、人間にも視認性が良くなっていること。もっとも、猫は夜目が効くので彼らには不要だと思うが、まぁ、これは飼い主が満足できれば良いのだろう。
また、入り口が大きくなったことで、猫が出入りしやすくなったようだ。
そして、デザインが洗練されたことで、室内においても野暮ったくなくなったことだという。
source:https://www.value-press.com/pressrelease/162385
ただ、機械仕掛けになっている分高額で、98,000円(税抜)という個人的にはかなり驚いた金額となっているが、5月の発売開始直後から売れ始めていると言うから需要はあるのだ。
『キャットロボット Open Air』がロボットたる所以は、自動的にトイレの掃除をしてくれるところにある。
猫が用を足して『キャットロボット Open Air』から出ると、その重量の変化をセンサーが察知して、自動的に室内が回転する。
この回転により、尿で固まった砂や便だけが取り除かれ、残りの砂は再びトイレの底に溜まるようになっている。
取り除かれた砂や便は、本体の下にある引き出し部分に溜まるので、そこに予めビニール袋をセットしておけば手を汚さずに回収することができるという仕組みだ。
まぁ、個人的には猫のトイレのメンテはそれほど大変では無いし、尿や便から猫の健康状態が分かり易いので、ロボットの必要性をそれほど感じないが、使ってみれば便利さが分かるのかもしれない。
ただ、多頭飼いの場合は、他の猫の尿や便が残っていると次の猫が使いづらいので、すぐさま自動的に掃除してくれる機能は非常に便利なはずだ。
猫ブームの背後に見え隠れする社会の変化
昨今、テレビ番組、CM、専門誌、マンガ、映画などと、猫派の私も呆れるほどに猫が露出している。
これは誰かが仕掛けたのかな、とも思ったが、どうやら社会的背景があるようだ。
一般社団法人ペットフード協会が2015年10月に調査したところによれば、全国で飼われている犬が約991万7000頭であったのに対し、猫は約987万4000頭と、それまで圧倒的に多かった犬をまもなく追い越すであろう状態なのだという。
これは人間側の暮らしぶりの変化が影響しているらしい。
一つは都市型生活者が増えたことで、集合住宅が増え、室内飼いにより適した猫が好まれるようになってきていると言うことだ。
犬では散歩できる環境(できれば地面や緑に恵まれた田舎が良い)や吠え声が気にならない程度に近隣との距離が必要だが、猫は散歩の必要がないし吠えることもない。
また、長時間留守をする独身者や体力が衰えている高齢者が増えていることも、より手間がかからない猫が好まれる理由だろう。
つまり猫ブームには、私たちの暮らしぶりの変化が影響している可能性があるのだ。
アベノミクスよりネコノミクスに期待?
記事が長くなっているが、ついでに経済効果についても触れておきたい。
猫ブームには、経済効果への期待も大きい。何しろアベノミクスは当てにならないが、ネコノミクスは大いに経済に貢献していると言われているからだ。
ネコノミクスと言う言葉は、和歌山電鐵貴志駅の「たま駅長」による年間約11億円にも登った経済効果がきっかけで使われ出したという説がある。
そして関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によれば、ネコノミクスの経済効果はなんと約2兆3162億円にも登るという。
経済効果は、猫を飼うために使われる費用からペット産業、テレビやCM、グッズ、出版物、観光事業、猫カフェなど、直接的な効果や波及効果をまとめた試算だという。
ちなみに2020年に開催される東京五輪の経済効果が約3兆円と言われていることを考えると、その効果の大きさが分かる。
トイレロボットから話しが広がりすぎてしまったが、まさに猫は招き猫だったということになる。
【参考】