eBayというインターネットオークションサイトがある。これは世界中から珍品が大集合する「蚤の市」でもある。

商品を検索してみると、まさに「桁外れ」という表現が相応しい品揃えだ。たとえば「ナポレオン」という単語で探してみると、ナポレオン時代のフランス軍高官が使っていたというサーベルが出てくる。もちろん、資金さえあればそれを購入することも可能だ。
このようにeBayには、マニアにはたまらない逸品が山のように集まっているのだ。
ヒトラーの暗号機が安値で落札
最近では、このような品も登場した。
第二次世界大戦の際に、ドイツのアドルフ・ヒトラーが使用していた特殊暗号の打ち出し機である。
当時、ナチス・ドイツでは「エニグマ」と「ローレンツ」という2種類の暗号作成機を採用していた。この2つから打ち出され、なおかつ連合国側に解読された情報は「ウルトラ」と呼ばれ、大戦の勝敗そのものに作用したのだ。
「ローレンツ」は「エニグマ」よりもさらに大型かつ複雑で、その使用者はヒトラーと軍司令部の元帥たちに限られていた。
そんな暗号機が、たったの9ポンド50ペンスでeBayの競売に出されていたのだ。
それを発見したイギリス国立コンピューター博物館の研究者は、出品者に「お釣りの50ペンスはいりません」と言って10ポンド札を渡したそうだ。10ポンドは、日本円では約1,600円である。
それはどこから流出するのか?
また、eBayではiPhoneのプロトタイプ機がたびたび登場することでも知られている。
今年5月には、iPhone6のプロトタイプ機がeBayに出品された。極秘主義のAppleの試作モデルがなぜ出てくるかというと、要は「友人の友人がAppleの関係者」ということらしい。
iPhoneが70年前の暗号機と違うのは、「専門家でなくてもそれが何か分かる」という点だ。じつを言うと先述の「ローレンツ」は、出品者がそれを単に古い電報打ち出し機だと思っていたからこそ驚きの安値で落札されたという経緯がある。
だが、iPhoneにそういう事態はまず発生しない。ごく普通の暮らしぶりのガジェットマニアがプロトタイプ機を手に入れるのは、やはり至難の業だろう。
汚職政治家、買ってください
一方で、eBayには「人」も売り出されている。
だがこれは人身売買ではない。「いらない政治家を売ります」という政治風刺だ。
パキスタン首相のナワーズ・シャリーフ氏は、パナマ文書により財産の秘匿が明らかになってしまったビッグネームの一人である。そんな首相は必要ないということで、とある勇敢な市民がシャリーフ氏をオークションにかけたのだ。
このように、eBayはまさに世界を凝縮した何でもありのジャングルである。このサイトで出品を確認するだけならログインすらいらず、誰しもが手軽に「世界の珍品」を眺めることができる。
ぜひ一度、試してみてはいかがだろうか。
【参考】
※Device used in Nazi coding machine found for sale on eBay-The Guardian
※Prototype iPhone 6 with ‘Switchboard’ OS Listed on eBay for $4,999-Mac Rumors
※‘Useless’ Pakistani PM Nawaz Sharif Put Up For Sale On eBay, Gets 100 Bids-NDTV
【動画】
※Coding machine that sent Adolf Hitler messages sold for £10 on eBay-YouTube