楽器の演奏中に譜面をめくり損ねると演奏が途絶えてしまう。最悪、譜面が譜面台からパラパラと落ちてかっこ悪いことになる。
また、何曲分もの譜面を持ち歩くのはかさばって面倒だ。
私も昔、趣味でクラシックギターを演奏していたが、譜面の管理やめくる手間は面倒だった。
書籍が電子書籍になったんだから、譜面も電子化できれば良いのに…。
ということで、楽譜を表示できる丁度良い大きさのデジタルデバイスが登場した。
従来の紙の楽譜の見やすさをデジタル化
そのデバイスは譜面を表示するための専用端末で、2画面を見開きで表示できる電子ペーパー端末の『GVIDO』だ。
『GVIDO』の開発を発表したのはテラダ・ミュージック・スコア株式会社(品川区)で、電子楽譜用端末としては世界初になるという。
『GVIDO』にはE-Ink社の電子ペーパーディスプレイである「Mobius」の13.3インチ版が2枚使われている。
そのため『GVIDO』のサイズは見開きで開いた状態で幅480mm、高さ310mm、そして厚みが5.9mmとなっているが、これは演奏会で使われる楽譜の標準的なサイズを再現できるものとなっている。
つまり、楽器の演奏者にとっては、『GVIDO』のサイズはこれまで慣れ親しんできた紙の楽譜と違和感が無く、見易いということになる。
むしろ、フレームのタッチセンサーに触れるだけで左右どちらにでも譜面がめくれるため、紙の譜面よりも扱い易くなるだろう。
ちなみに製品名の『GVIDO』は、11世紀に今の五線譜の原型を考案したと言われているGuido d’Arezzo氏に由来するという。
紙の楽譜よりも管理が容易に
『GVIDO』は大型のディスプレイ端末だが、重量は約650gなので、何冊もの楽譜集や大量のばらけた楽譜を束ねて持ち歩くよりも携帯性や管理が容易になりそうだ。

また、ディスプレイにはワコムのペンセンサー「feel」が採用されているため、専用のペンで譜面上に書き込みができる。この辺りは紙の譜面と使い勝手は変わらない。
現在の所、譜面のファイル形式はPDFなので、既存の楽譜を電子化することはそれほど難しくないだろう。
BluetoothやWi-Fi、microSDカードに対応しているため、楽譜データを外部から取り込んだり外部に保存するなどできる。また、今後様々なアクセサリーが登場する余地もある。
楽譜も楽曲単位でダウンロードできる時代に
『GVIDO』はまだ発表されたばかりで、今後音楽大学やオーケストラなどの現場の意見を取り入れながら、さらにスペックをブラッシュアップしていく予定だ。
実用化されれば、楽譜の管理や携帯性、操作性が向上するというだけでなく、楽譜をネット上からダウンロードして入手することができるため、楽譜の販売方法にも影響を与える事が考えられる。
今後は音楽出版業界も、楽譜を楽曲単位でダウンロードできる様な販売の仕組み(既にダウンロード販売しているサイトもある)を用意する必要が出てくるだろう。