
あなたがFacebookに投稿した文章を最初に読んでいるのは、AIかもしれない。
さすがにAIが「いいね!」と反応することはなさそうだが、世界中の投稿内容を、黙々とだれよりも早くチェックしているのはAIということにはなりそうだ。
2016年6月1日に、Facebookは『DeepText』を発表した。ディープラーニングで学習した『DeepText』は、テキストの内容を瞬時で人間に近い正確さで理解できるのだという。
いったい、何が始まっているのか。
膨大な投稿やコメントを瞬時で解釈していくAI
『DeepText』は、Facebook上の膨大な非構造化データを人間に近い正確さで理解できるという。
その速さは1秒間に1000件の投稿を解釈でき、20カ国語以上の言語に対応できるとしている。
それでも毎秒数千件の新規投稿が行われているというFacebook上に生まれる膨大な文章を捌くためには、さらなるパワーアップが必要かもしれない。
しかし、その学習能力は高く、Facebook上で使われる様々なスラングや新しい言葉もどんどん学習していける。
Facebookは『DeepText』を、ユーザー体験の向上に利用するとしている。
例えばユーザーが興味を持っているコンテンツを優先的に表示する一方で、スパムなどのコンテンツは除去するといった具合だ。
実は『DeepText』は「Facebook Messenger」などの一部のアプリケーションではすでにテスト的に使われているようだ。
公式ブログで取り上げている例では、ユーザーがタクシーが必要だとして「I need a ride」や「Take a cab」、あるいは「Let’s take a ride there」などと入力すると、「Request a Ride」とタクシーを呼ぶツールを利用するためのメッセージが返されるが、「I don’t need a ride」「I like to ride donkeys」といった紛らわしいメッセージを入力しても反応しない。

ディープラーニングが作り出すSNSの世界
Facebookでは、エコシステムを強化しつつ新規事業を拡大するという長期計画を打ち出しているが、『DeepText』はこれを支えるシステムになりそうだ。
将来的には、ユーザーにとって不愉快であったり不要であったりするコメントを排除し、有益なコンテンツを優先的に表示するようになるだろう。
また、スパムやヘイトスピーチ的なコメントも排除できるようになると思われる。
さらにFacebookは、この『DeepText』に画像認識エンジンの『DeepFace』を組み合わせることで、視覚的な要素もディープラーニングの対象とする仕組みを開発しているという。
そうすれば、「新しい家族が増えた!」という文章と猫の写真が投稿されれば、システムは投稿者が猫を飼い始めたことを理解し、子猫の飼育に必要なグッズや情報を優先的に提供してくるようになるかもしれない。
そして気が付けば、Facebook上には、AIによって厳選された心地よい情報や必要な情報ばかりが表示されていることになるのだろう。
なにやらSNSが無菌室化されていくような気もする。
【参考】
※ Introducing DeepText: Facebook’s text understanding engine | Engineering Blog | Facebook Code