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ミツバチを危機から救う!? センサーを活用した蜂の巣のモニタリングソリューション

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※筆者撮影

ミツバチは、果物や野菜の受粉に不可欠であるがゆえ、農業とも関わりの深い生物。米農務省(USDA)では、ミツバチの受粉によって、年間150億ドル(約1.6兆円)以上の付加価値が米国内の農業にもたらされていると試算している。

しかしながら、近年、原因不明に大量のミツバチが失踪する『蜂群崩壊症候群(CCD)』の影響により、ミツバチの個体数が急激に減少。米農務省の調査によると、2006年以来、1,000万カ所もの蜂の巣が消失し、養蜂業だけで20億ドル(2,200億円)規模の損害が発生しているという。

センサーとビッグデータ解析で蜂の巣をモニタリング

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Source: http://www.beesmarttechnologies.com/

ブルガリア出身の起業家イワン・カネフ(Ivan Kanev)氏は、2013年に米サンフランシスコで『Bee Smart Technologies(ビー・スマート・テクノロジーズ)』を創設し、農作物の受粉と養蜂を最適化するためのソリューションを開発してきた。

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Source: http://www.beesmarttechnologies.com/

『Smart Beehive Management System(スマート・ビーハイブ・マネジメントシステム)』と呼ばれるこのソリューションは、センサーを通じて、蜂の巣の位置や温度、湿度、重さ、振動、音などを測定。すべての測定データはクラウド上に自動転送され、独自のアルゴリズムによって解析されたレポートが12時間ごとに出力される仕組みだ。

肉眼では見えづらい蜂の巣を継続的にモニタリングすることで、蜂群崩壊症候群などの異常を早期に感知でき、ミツバチの群れを保護したり、養蜂の生産性を向上させることができる。また、ミツバチの個体数が一定に担保されれば、農作物の花粉交配も適正に行われ、農業生産性も高まるであろう。

ミツバチに下支えされている私たちの食料

ミツバチは、いわば、私たちの食料を下支えしてくれている貴重な“媒介者”。

養蜂や農業の生産性向上のみならず、食料確保の観点からも、『Smart Beehive Management System』のように、センサーやデータ解析といった最新技術をミツバチの適正なマネジメントに応用するアプローチは、歓迎すべきことだろう。

【参考・画像】
Bee Smart Technologies

ARS Honey Bee Health and Colony Collapse Disorder – USDA

Report on the National Stakeholders Conference on Honey Bee Health – USDA