家事を手伝うロボットと言っても、メイドさんのような人型ロボットを想像すると裏切られる。
ロボット開発で有名な、Alphabet傘下のBoston Dynamicsが公開した家庭用ロボットは、犬の様な4足歩行するロボット『SpotMini』だったからだ。
しかもこの『SpotMini』は、手の代わりに頭にしか見えない蛇の様な口で物を掴む。
見た目はまだまだ不気味だが、かなり器用な動作や制御技術が使われていることが分かる。
複雑な家の中を動き回る技術
Boston Dynamicsといえば、どちらかというと軍事用ロボットの開発をしているイメージがあるが、今回動画が公開された『SpotMini』には、どうやら家庭的な働きをさせたいようだ。
そのため動画では、家の中を動き回る場面が多い。
しかし、狭い家の中で動き回ることは、却って難しい事がわかる。何しろ狭いし障害物は多いし、階段まであるからだ。
人間でも、怪我をする場所で最も多いのは家の中だと言うくらいだから、ロボットにとってはなおさらやっかいな空間なのだ。
しかし『SpotMini』は、家の中を起用に動き回っている。
障害物を避けて移動することもできるし、テーブルの下を身を低くしてくぐるといった、かなり器用な動作も可能だ。さらに狭くて急な階段も上れることには驚かされる。
また、食器を移動させたり飲み物が入った缶を運ぶときは、背中に畳んでいるアームが伸びてその先端で挟むのだが、これがどうにもブラキオザウルスみたいな恐竜が物を咥えている動作に見えてしまう。
バナナの皮で滑って転んでも、自分で起き上がれる技術
『SpotMini』が家の中でも器用に動き回れるのは、深度カメラやIMU(慣性計測装置)、ジャイロなどの様々なセンサーを搭載しているためだ。
そのためかなり自律的に動くことができるが、まだまだ人間からの指示を必要としているそうだ。
それでも、バナナの皮で転ぶという、かなり古典的なコントの様なアクシデントに対しては、ちゃんと自分で起き上がることができる。動きは古典的だが、それを可能にしているのは最先端技術だ。
この様な最先端ロボット技術を開発しているBoston Dynamicsだが、親会社のAlphabetとは余り良い関係では無くなっているらしく売却も検討されていると言われている。
売却先にはAmazonやトヨタが噂されているが、いずれにせよ、開発目的は軍事用から家庭用や産業用に変わりそうな気配だ。
近い将来、家の中を、家事用ロボットが忙しそうに歩き回っている光景が見られるかもしれない。ときどき、滑って転びながら……。
【参考】
※ Watch Boston Dynamics’ newest robodog fetch a soda and slip on a banana peel – Ars Technica
※ Enjoy a video of Boston Dynamics’ new robot doing chores and slipping on banana peels – TechCrunch