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九州大学発表の「白金に代わるスーパー電極」は現代の錬金術

燃料電池としての白金

「白金」を使うと、水素と酸素から電気を発生させることができるのだ。これさえあれば、石油がなくなっても自動車の未来は残る。

ところが、「白金」には大きな問題があった。それは希少であること。「白金」の別名はプラチナであり、当然に高額な存在だ。そのため、これまでの燃料電池車は、1台1億円以上という、とんでもない価格になってしまっていたのだ。

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さすが「賢者の石」だけあって、一筋縄ではいかない。

しかし、6月に九州大学から驚くべき発表があった。

九州大学が発表した驚くべき研究成果とは

「九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)/大学院工学研究所の小江誠司教授の研究グループは、名古屋大学の研究グループにより、燃料電池のアノードとして一般に利用される白金触媒の能力をはるかに超える水素酵素(ヒドロゲナーゼ)S-77電極の開発に成功しました」

なんと、燃料電池の白金と代わるものを開発したというのだ。しかも、その水素酵素は、鉄とニッケルを活性中心として持つ金属酵素。つまり、貴金属ではない。自然界に豊富に存在する金属を組み合わせることで、「賢者の石」である「白金」を超える触媒を作り出すことに成功したというのだ。

実のところ水素酵素が白金に代わる優れた能力を備えていることは以前から知られていたという。

だが、それを安定して作用させることが、これまではできなかったのだ。それを、今回の研究では克服したのだ。そして出来た水素酵素(ヒドロゲナーゼ)S-77は、白金の637倍の多くの電流を水素から取り出せるポテンシャルを秘めているという。これが実用化されれば、燃料電池車のコストは一気に安くなり、普及のはずみになるに違いない。

もちろん、研究室内の成果が、いきなり量産モデルに採用されることはない。いくつもの壁が立ちふさがるのが常だ。しかし、日本の研究機関から、そのような夢のある研究成果が得られたというのは、なんとも嬉しいニュースではないだろうか。

*参照(PDF):燃料電池の白金電極を超える水素酵素「S–77」電極の開発に成功

*自動車の画像:Yaromir / Shutterstock.com