
SF映画では、ロボットが人間と握手したり、闘ったりするシーンが普通に出てくるが、実はこれ、現実にはかなり難しい。
というのも、人間同士がお互いに相手に合わせて行動する際は、かなり直感で相手の動きを予想しているからだ。
しかしロボットには直感がない。
そこで、AI(人工知能)に人間の行動を学習させて、次の行動を予想できる直感の能力を与えられないだろうか、という研究が行われている。
なんと、AIに大量のドラマを見せて、人間の行動を学習させようというのだ。
ドラマを見て人間の行動を学習するAI
AIに人間の行動を予測させる研究を行っているのはマサチューセッツ工科大学(MIT)だ。
AIに600時間にも及ぶテレビ番組を見せて、人間の行動を学習させたという。
その結果、AIはまったく初めての動画を見ても、その動画の登場人物達がこれから何をするか、なんと43%の確率で予測できるようになったという。
たとえば座って新聞を読んでいる人物に、別の人物が近づいて来たら、「Prediction: handshake」と握手することを予測する。
あるいは2人の女性が向き合い、片方が両手を差し出していると、「Prediction: Hug」とハグすることを予測している
ただ、男性2人がテーブルを挟んで向き合ったとき、「Prediction: handshake」と予測したが、実際にはハイタッチをして予測が外れることもある。人間は気まぐれなのだ。
AIが人間の行動を予測できれば、応用範囲は広そうだ
この研究では、AIにドラマやYouTubeの動画を大量に見せた。すると動画を解析するアルゴリズムが、動画中の人間の顔のパターンや手の動きなどを解析し、どのような流れで人間が行動するか学習する。
その結果、新しい動画を見ても、人が近づいて来て向き合って立ち止まれば、これから握手するな、とか、顔が近付けば2人はキスをするな、などと予測できるようになる。
現段階では、まだまだ人間の予測力においついていないが、AIは学習を続ければ、予測精度を上げることができるという。

それに、そもそも人間にだって完璧な予測は難しいのだ。
しかし、AIが人間の行動を予測できるようになれば、より自然なコミュニケーションを行えるロボットを開発することも可能になりそうだ。
あるいは自動車の自動運転に応用すれば、歩道にいる人が道路を横断しようとしていることなどを予測できるようになるかもしれない。
ふと、思い付いた。
集団としての人間の行動を予測できれば、株価の値動きや商品の売れ行き予想などもできるようになるかもしれない。
応用範囲は広そうな気がする。
【参考】
※ Teaching machines to predict the future – MIT News
※ MIT researchers taught an algorithm to predict the future by watching TV – WIRED UK