
デジタルネイティブと呼ばれる世代がいる。彼らは生まれたときからデジタルデバイスに囲まれており、物心ついたときにはすでにデジタルデバイスを手にしていた世代だ。
しかし、彼らの多くは、デジタルデバイスのユーザーであり、開発者ではない。これからの子どもたちはプログラミングネイティブになるかもしれない。なにしろおもちゃが、プログラミングツールになるからだ。
プログラミングできるブロック玩具
米国時間の6月27日に米Googleが発表した『Project Bloks』は、5歳以上の子どもがブロックで遊びながらプログラミングを体験できるハードウェア開発のプロジェクトだ。
『Project Bloks』の第一歩は、「タンジブルプログラミング」のプロトタイプとして発表された。「タンジブル(tangible)」とは「触れて感知できる」という意味で、まさに手を使ってブロックを組み立てることで、プログラミングを体験しようというコンセプトになる。
『Project Bloks』では、さまざまな機能を表すシンボルの形状をしたブロックを組み合わせることで、その繋ぎ方によって何かを動かしたり音を鳴らしたりできる。
プロトタイプでは、「Puck」「Base Board」「Brain Board」といった3種類のブロックがある。
「Puck」は命令を行うブロックで、ボタンやダイヤル、矢印などの形をしている。これらのブロックで、電源を入れたり方向を指示したりできる。
「Base Board」は「Puck」のボタンやダイヤルなどを連結する機能を持っている。
そして最終的に「Brain Board」に接続することで、命令が処理されてWi-FiやBluetoothで接続できるおもちゃを動かすという考え方だ。
と、デジタルイミグラントの私などは、なんだか難しそうだな、と思ってしまうが、頭が柔らかい子どもたちは、直感でテキトーに遊びながら、プログラミングを理解してしまうのだろう。
プログラムできるブロックで遊んだ子どもたちはどんな成長をするのか
たとえば『Project Bloks』公式サイトのトップページを見ると、ブロックの組み合わせの例として、気温が下がると電球を点灯させる「Sensor Lab」や、3種類の楽器の音源を重ねながらループさせて音楽を奏でる「Music Maker」、ロボットなどを制御するためのコーディングの構造が理解できる「Coding Kit」が紹介されている
『Project Bloks』は2013年から始まっており、プロトタイプは米デザイン会社のIDEOが作成している。他にはスタンフォード大学やチェンマイ大学もプロジェクトに参加している。
Google自身は、決しておもちゃ産業に参入しようと考えているわけではなく、得意のオープンソースとして開発し、参加するおもちゃメーカーや教材メーカーの参加を呼びかけている立ち位置だ。
すでにブロック玩具で有名なLEGO社も参加しているということなので、画期的なブロック玩具が生み出されそうな予感がする。
このようなおもちゃで遊びながら育った子どもたちは、いったいどんな思考回路を持った大人に成長するのだろうか。
怖いような、楽しみなような……。
【参考】
※ Project Bloks – Creating a development platform for tangible programming
※ Google is making a toy system that teaches kids how to code – The Verge