
人間がまったくの「オリジナル」を生み出すというのは、非常に難しい。
たとえば、建築士が最先端技術を駆使してまったく新しい設計を考え出したとしても、結局それが昔ながらの方法と類似していたということはよくある。合理性というのは経験の蓄積でもあり、それを人間が超えることはなかなかできない。
ロボットの構造についても同じだ。より合理的な、より無駄のない動きのロボットを追求していくと、最終的には既存の生物にたどり着いてしまうらしい。
合理的な生き物とは……
現在、世界のテクノロジーメディアを大いに賑わせているのが、このサンショウウオ型ロボットである。
見た目はお世辞にも愛らしいとは言えず、不気味ですらある。だがロボット工学のプロに言わせると、サンショウウオほど合理的な動作の生物は他にないという。
サンショウウオは両生類。言い換えれば水陸両用だ。しかも泳ぐ時も歩く時も、その基本ムーブは一切変わらない。
そんな生物の頭にカメラでも搭載すれば、あらゆる地形を細かく調査することができる。ロボットの基本設計にサンショウウオの骨格を採用したことは、決してクレイジーな選択ではないのだ。
「生物の進化」を再現
このロボットは、考古学の分野においても大きな注目を浴びている。
地球上のすべての生物は、もとをただせば海から発生している。微生物が海中植物になり、魚になり、そしていつの間にか陸上に移った。この時、海の生物がどのように陸への第一歩を果たしたのかをロボットが再現してくれるかもしれない。
そうした面での活用も、今後期待されている。
日本の国土にピッタリ?
動物型ロボットによる土地調査ということで話を絞れば、もしかしたら我が国日本はそうした需要が大きいかもしれない。
なぜなら、日本は山岳国だからだ。
山地の実地調査というのは極めて難しい。GPSやレーザー測量といった技術が確立されてようやく山地を含む全国土の細かい調査が始まったというような状態で、それ以前は国土の全容を把握することなど不可能だった。
サンショウウオ型ロボットは、より局地的な土地調査や危険箇所の実測などに利用できるのではないか。
こうした可能性にも言及できるほど、このロボットは可能性に満ちている。
【参考】
※Robot salamander helping scientists unlock spinal secrets − YouTube