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豚の糞からアスファルトだって? それはサステイナブルだ!

米国科学財団のサポートを受けたノースカロライナ農業工科州立大学(NC A&T)の研究チームが、おどろくべき物を原料にしたアスファルト舗装の材料を発表した。それは豚の糞だ。米国科学財団のウェブサイトで紹介されている。

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豚の糞は石油に似ている?

豚の糞は、石油と非常に似た油分を含んでいるという。もともとアスファルトは、原油を精製する際に出るもっとも重い部類の成分であり、同様に豚の糞の油分もガソリンのような燃料にするには適さないが、道路の舗装には適しているという。

研究チームによれば、この豚の糞を原料にしたアスファルトは、1ガロンあたり56セントのコストで製造することができ、これは石油由来のアスファルトと比べるとかなり安いという。そして現在はその材料を使った舗装がテストを受けている段階だ。

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研究チームのEllie Fini氏たちは、この技術に関して特許をとり、Bio-Adhesive Allianceという会社を立ち上げた。畜産家にとっても建設業者にとってもメリットのあるビジネスを展開する計画だ。

 

臭いの心配は無用

もちろん道路が悪臭を放つという心配はない。悪臭の原因となる成分は途中でフィルターによって除去され、残ったものは肥料として再利用することができる。したがって、このシステムに“うさん臭い”ところはない。

商業化については、NC A&Tの技術マネージメントのMahour Parast助教授が研究チームをサポートして、この技術の実現可能性や商業的な可能性、供給の課題などが検討された。養豚業者やアスファルト会社などともミーティングが行われている。

もちろん豚の糞が入手できることが条件なので、世界中の道のアスファルトが豚の糞によるものにとって代わられることはなさそうだが、それでもコストが安いとなれば、養豚業が盛んなエリアの道路には使われることになるかもしれない。

アスファルトは原油精製の際の副産物のひとつのようなものなので、これだけで単純に化石燃料の消費削減に貢献するものではないだろう。とはいえ豚の糞の有効活用は畜産業者にとってもメリットが大きいかもしれないし、老朽化して交換されたアスファルトの処理などの面でも環境に優しいものになりそうだ。

技術の進歩によって、思いがけないものが資源になっていく可能性がある。

 

【参考】

National Science Foundation

【動画】

Pig manure paves road to sustainable asphalt – Science Nation -YouTube