近い将来、多くの職業がロボットや人工知能にとってかわられるという予測がある。しかし、ドイツ・ケルンにあるフォードの工場で新たに採用されたロボットは、そんな予測とはかなり異なるロボットのありかたを見せている。
人間と協力して作業する
自動車をはじめとして、さまざまな製造工場で産業用ロボットが使われている場面をテレビなどで目にしたことがあるだろう。じっさい、自動車の組み立て工場などでは、産業用ロボットが人間に代わって仕事をするようになった作業も多い。
しかし、このロボットはちょっと性格がちがうようだ。人間にとって代わるというよりは、人間の同僚として、仕事を手伝うように作られている。フォードでは、この開発を『インダストリー4.0』と名づけたプロジェクトの一環としている。これは4度目の産業革命を意味している。
このロボットは、ドイツのKUKA Roboterというメーカーとの協力で生まれたものだ。まずフォード・フィエスタの生産ラインで、サスペンションのショックアブソーバーを取り付ける作業に携わっている。正確さや器用さが求められ、しかも力の必要な作業だ。
3フィートちょっとという身長のこのロボットが、重いショックアブソーバーと取り付けツールを持ち上げて正しい位置にセットしてくれるので、人間のスタッフがショックアブソーバーを装着するのが楽になるのだ。
「頭の上で重いエアツールを操作するのは力もスタミナも必要だし、正確にやらなければいけないので重労働なんです。ロボットは本当に役に立ちます」と、工場スタッフのNgali Bongongo氏はいう。
安全性も高まる
ロボットは高性能センサーを備えているので、パーツやツールを動かそうとする先に人間の手や指があるとそれを検知でき、すぐに動きを止める。そうすることで人間のスタッフの安全性も確保されている。なお同様の技術は製薬産業や電子産業でも使われているという。
フォードでは今後の共同作業ロボットについて、握手をすることからコーヒーを淹れることまでプログラムできるようなものを考えているという。動画のなかでは、そんなロボットの姿も見ることができる。
人工知能、ロボット工学の進化によって、将来の仕事はどう変わっていくのだろうか? 人間は駆逐されてしまうのか? しかし、この動画を見ると、人間とロボットが職場で共生する未来というのもありえそうだ。もちろん、ロボットのありかたは国や地域、文化によっても変わっていくのだろう。
【参考・画像】
【動画】