
コンピューターが戦闘用の兵器を設計して製造する。まるで「ターミネーター」の世界だが、映画以上にSFチックなことが計画されている。
コンピューターが戦闘機を「培養」するというのだ。
英国の航空・防衛大手のBAE Systems社が公開したコンセプトムービーでは、コンピューターが戦闘機を設計し、新しい3Dプリンター技術「Chemputer」によって、戦闘機を液体の中で培養している。
こんなことが可能なのだろうか。
「Chemputer」という新しい技術
BAE Systems社が公開したコンセプトムービーは、「Chemputer」という新しい技術で、無人戦闘機を設計して培養する技術を、実用化に向けて研究していると言うことを示した。この研究はGlasgow大学と共同で行われている。
「Chemputer」は「chemical」と「computer」の合成語で、コンピューターが設計した機器を、化学物質の反応を利用して複雑な機械を自在に組成するという技術だ。
映像的にはドロドロの液体の中、数値化された化学反応を起こさせ、複雑な機械を短時間で製造する──というか培養に近い。
この技術が感実現すれば、無人戦闘機のような複雑な機械でも、従来の生産工場による生産工程を経ずに、水槽の中で短期間で新兵器を製造(培養)することができる。
その結果、何年もかかっていた無人戦闘機のアップデートも数日間という短期間かつ低コストで行えるというわけだ。

今世紀中には実現可能
Glasgow大学のLee Cronin教授は、現在この研究が非常に面白い段階にあると語っている。
とはいえ、「Chemputer」が無人戦闘機の様な複雑な機械を製造するまでには高いハードルがあ。それでも同教授は、最終的にはデジタル技術が複雑な機械を化学物質や材料から組成することは可能だと確信しているとも語っている。
そのため研究チームは、既に無人戦闘機の次は有人戦闘機の培養も視野に入れているという。なんとも気の早い話だ。
何しろ研究者たちは、この技術は実現可能だと確信しているものの、今世紀中に実現できれば良いな、くらいのスケジュール感で考えているからだ。
平和利用も期待したい
また、コンセプトムービーでは話題性のある無人戦闘機を培養しているが、「Chemputer」が戦闘機ほどの複雑な機械を培養できるのであれば、もっと平和的な利用も当然可能になるのだろう。
例えば乗用車や家電品、あるいは介護ロボットなども培養できる様になるかもしれない。
それにしても、科学者たちが実現できると確信していても、やはり無人戦闘機が培養されるなどとは、凡人の私には信じがたい。
【参考】
※ Lifting the lid on future military aircraft technologies – BAE Systems | International
※ New research considers ‘growing’ drones – BBC News
※ Armies could someday GROW their own drones using massive tubs of chemicals – Daily Mail Online