
自動車メーカーやIT企業が自動運転の開発競争をしているが、自分はまだまだ当分は今の車に乗るから関係ない、と思っていないだろうか。
ところが後付けで普通の車を自動運転車にできる技術が開発されていた。
しかもその自動運転は、人間の運転から運転方法を学習するという。
つまり、持ち主に似た運転を行う様になるのだ。
普通の自動車を自動運転車化するソフト
その普通の自動車を自動運転車に変える学習型の自動運転ソフトウェアは『Selenium』という。オックスフォード大学からスピンアウトしたベンチャー企業のOxbotica社が開発した。
『Selenium』は運転者の実際の運転から学習し、一定レベルの運転技術を習得した後は、自動運転を可能にするという、他社が進めている自動運転とは異なるアプローチをしている。
しかも、どの企業も自動運転車という専用自動車を開発しているのに対し、『Selenium』は既存の普通自動車やバス、フォークリフトまでも、後から自動運転に変えることができる技術だ。
もちろん、そのためにはカメラや各種センサーを取り付ける必要がある。
しかし、『Selenium』は運転中に車が走った環境と車の位置、そしてそれに対する運転手の対応を学習するため、通常の自動運転車のように、買ったその日から自動運転をできるわけではない。
人間の運転から学習する自動運転ソフト
となると、運転手も注意して運転しなければならない。何しろ先生は自分なのだ。乱暴な運転をすれば『Selenium』はその乱暴な運転方法を覚えてしまうだろう。
『Selenium』には予め、最低限の認識能力が備わっており、例えば人や車を認識できるらしい。
ところが見本となるべき運転者が人を無視するような走り方をすれば、『Selenium』はそれが人ではないのだと学習してしまうのだ。
やがて『Selenium』が自動運転できる、と判断すれば、システムに運転を任せられるようになる。
この『Selenium』は主に2つの機能から成り立っている。
一つは車がどのような空間の何処を走っているかということを把握する機能だ。
もう一つは、車の周りで何が起きているのかを把握する機能だ。

これらの機能でデータを集めるために、カメラ、レーザー・スキャナー、レーダー・システムが活用されている。
そして、これらの機能で読み取った状況に対して、どう動けば良いのかを判断する。
自動運転車に対するユーザーの選択肢が増える
以上の様に、『Selenium』は運転者から学習する自動運転ソフトであるため、同じルートを頻繁に走れば、それだけ自動運転の精度が上がる。
ところで『Selenium』はGPSに依存していない。そのため、GPSが使えない地下や建物の中といった場所でも自動運転を可能にすることが期待できる。
このように、これまでとは異なったアプローチの自動運転技術が登場したことで、自動運転の技術の進歩がより加速する可能性も出てきた。
また、既存の自動車を自動運転化できる技術は、ユーザーの選択肢を増やすことになるため、自動運転の普及も加速させることになりそうだ。
【参考】
※ Selenium – Oxbotica
※ Oxbotica’s New Autonomous Vehicle Software Learns As It Goes