
コーヒーは、世界各地で摂取されている代表的な飲み物。国際コーヒー機関(ICO)によると、2015年に世界で消費されたコーヒーの量は912.6万トンで、その規模は、2011年以降、年率2.0%のペースで成長している。
また、英バース大学の研究結果によると、抽出した後の使用済みコーヒーには重量の20%程度に相当する油脂が含まれており、優良なバイオ燃料として活用できることが明らかとなっている。
使用済みコーヒーをバイオ燃料に再生

英ロンドンで2012年に創設されたスタートアップ企業『bio-bean(ビオ・ビーン)』は、使用済みコーヒーを活用したバイオ燃料の生産に取り組む先駆的存在として知られている。
『bio-bean』では、コーヒー加工メーカーや飲食店、オフィスなどの事業者から使用済みコーヒーを回収し、ケンブリッジシャー州のリサイクル工場で、液体バイオマス燃料や固形燃料として再生。1年間で、英国のコーヒー総消費量の約10%にあたる5万トンを再生処理できるそうだ。
ここで再生されたバイオマス燃料は、使用済みコーヒーを排出した事業者に再び供給。コーヒーの消費から廃棄、再生、再流通にいたる、新たな循環モデルを実現している。
バイオマス練炭「CoffeeLogs」を量産化

さらに、『bio-bean』は、使用済みコーヒーを再生した一般消費者向けプロダクトとして、家庭用暖炉や野外バーベキューなどで利用できるバイオマス練炭『Coffee Logs』を開発。従来の木炭に比べて、早く着火し、長時間、よく燃えるのが特徴だ。
量産化に先立ち、クラウドファンディングを開始し、目標額2万ポンド(約266万円)に対して、5万5000ポンド(約730万円)を超える資金を調達している。
コーヒーをそのまま捨てるなんて、もったいない
使用済みコーヒーを活用したユニークな事例としては、使用済みコーヒーを素材とするファブリックを使った台湾のファッションブランド『S.Café』や、使用済みコーヒーから製作されたコーヒーカップ『Kaffeeform』などもあるが、『bio-bean』は、従来、廃棄されていた使用済みコーヒーを私たちの経済活動や日常生活に不可欠なエネルギーへと転換させている点で、とりわけ秀逸といえるだろう。
【参考・画像】
※ bio-bean
※ The State of the Global Coffee Trade – International Coffee Organization
※ Could you run your car on coffee? – University of Bath
※ VIRGIN MEDIA BUSINESS VOOM 2016
※ S.Café