
どのようなジャンルにも「トレンド」というものがある。
アメリカのクラウドファンディングサイトを見ても、たとえば銃の誤射が全米で相次いでいる時にはガンセーフティ用品がよく出展される。それは拳銃の薬室にはめる安全装置だったり、指紋認証システムが付いたガンロッカーだったり。そうしたトレンドがある、ということだ。
そして今は、どうやら携帯枕が発明のトレンドと化しているようだ。
アゴを吊るす枕
ここ最近、携帯枕のクラウドファンディング出展が相次いでいる。
まずひとつ目は、『Indiegogo』に登場した新型枕『Nod』。ルイスビル在住の女性が開発したものだが、この商品はアゴを吊るすという設計コンセプトだ。
これはもはや「枕」とは言えないかもしれないが、Indiegogoの商品紹介ページには「Trabel Pillow」と書いてあるのでやはり「枕」である。外から見た姿はやや異様だが、確かに頭部が固定されていて気持ちよさそうだ。
このNodと携帯ブランケットの『Pod』は、最終的に目標額の1,500%もの資金を調達した。
携帯式抱き枕
また、同じIndiegogoにこのようなものも登場している。
抱き枕式の『Woollip』というもので、開発元はフランスの業者である。飛行機内での使用を前提にしていて、座席背部の折りたたみテーブルにWoollipを乗せる。バッグを使って同じことをした経験が、誰にもあるだろう。
顔面を押しつけるもよし、アゴを乗せるもよし、またウィンドウ側にもたれかかる形で使用するもよし。あらゆる姿勢での就寝に対応しているのがWoollipの特徴だ。
空気で膨張させるものなので、持ち運びにも手間取ることはない。
目標額の7,000%!?
そしてIndiegogoと二大巨頭を形成するサイト『Kickstarter』に、このような商品もある。
『FaceCradle』という名のこの携帯枕、蹄鉄をふたつ重ね合わせたような設計だ。その蹄鉄を首にはめる使い方もできるが、座席から紐を吊るして体重を依存させるという寝方も可能である。
機内で使用するには少々勇気が必要なデザインで、携帯性に関しても正直疑問符がつく。FaceCradleは、空気で膨らませるタイプのものではないからだ。
ところがこの商品も、終わってみれば目標の7,000%という額の資金を集めた。冗談のような数字だが、それだけ携帯枕という分野が人々の関心を集めているのだろう。
LCCが新型枕を作った?
今はLCC全盛の時代である。
当初は安全性の面から大いに疑問視されていたが、現代では人々の生活に必須の交通機関になった。これは先進国だけの話ではなく、たとえばマレーシアで働くインド人労働者が里帰りする時もLCCが大いに利用される。
航空業界は「エコノミークラスの座席を増やす」ことにより新しい成長を遂げた、と表現するべきかもしれない。だからこそ、エコノミークラスで快適に過ごすための道具の需要が増えたのだろう。少なくとも、世界の誰もが「エコノミークラスで寝て過ごす方法」を模索していたということは間違いない。
発明とは、人々の潜在需要から生まれるのだ。当たり前のことだが、その原理を改めて認識させる出来事が今も発生している。
【参考・動画】
※ New invention Nod Travel Pillow -The Ultimate Travel Sleep Solution – Youtube
※ Woollip Travel Pillow. How to sleep on a plane? Discover our innovative frontal pillow. – Youtube
※ FaceCradle , 5 Modes, 4 More than a Regular Neck Pillow – Youtube