前回に引き続き、CEATEC JAPAN 2016から。
今回はトヨタのブースを覗いてみた。ものすごい人だかりだ。
その人だかりの向こうには、ぴかぴかに磨かれた最新式のハイブリッドカーなどが鎮座しているのかと思って近付いたら、車が無い?
なんと、この大きなブースの主役は、掌に載るほどの小さなロボットだった。
そのロボットはこの冬に発売が予定されている『KIROBO mini』だ。
その小さなロボットの人気の凄まじさに圧倒された。
二足歩行よりも、寄り添うロボットを
『KIROBO mini』は国際宇宙ステーション「きぼう」に人類初のロボット宇宙飛行士として搭乗した『KIROBO』の小型版だ。
『KIROBO』は「きぼう」で、日本人初の船長となった若田光一宇宙飛行士と、宇宙空間では初めてとなる人とロボットの会話実験を行っている。
その様子もブースに設置されたプロジェクターで紹介されていた。
自動車メーカーが作るロボットといえば、ホンダのASIMOが有名だ。そのため、私はトヨタがロボットを作るとすれば、やはり二足歩行の技術で競争するような人間に近い形状とサイズのロボットが作られるのだろうと、漠然と考えていた。
しかし、トヨタが発表した『KIROBO mini』は、二足歩行どころか立つこともできない。基本的に座った状態なのだ。しかも僅か180gの小さなロボットだ。
ただ、『KIROBO mini』は頭と手は動かせる。それに目が光ることで感情を表現することができる。
また、この小ささは携帯性を高めることで、常に『KIROBO mini』が人と一緒に居られることを想定している。
つまり、トヨタが目指したのは、何か仕事をするロボットではなく、人とコミュニケーションをとりながら成長して寄り添ってくれるロボットだった。
ただし、自動車メーカーが開発しているということで、自動車との連携機能も搭載している。
今回は車の存在感は薄く
『KIROBO mini』は、購入したばかりのときはまだ5歳児程度の反応を示すという。それがコミュニケーションを重ねることで、持ち主が話したことや移動した位置などを覚えながら、徐々に気の利いた受け答えをするように成長する。
その結果、『KIROBO mini』は持ち主ごとに異なる個性の持ち主となるわけだ。
また、人の表情や仕草に反応したり、どういう仕組みか分からないが雰囲気まで察して、例えば励ましてくれたり褒めてくれたりするという。
この『KIROBO mini』の頭脳は、トヨタスマートセンターのサーバーにあるため、ネットワークに接続する必要があるが、『KIROBO mini』自体にモバイル回線との接続機能がないため、Bluetoothでスマートフォンと接続する必要がある。
そのために専用アプリが必要だが、アプリは利用料が月額300円となっている。
ブースでは、『KIROBO mini』と会話を試せるコーナーが設置されていたが、余りの人だかりで近づけなかった。
ところで自動車は? と探してみると、申しわけ程度に水素自動車『MIRAI』のカットモデルと、同じく水素燃料で動くフォークリフトがブースの裏のような位置に展示してあっただけだ。
車はモーターショーで見せれば良い、ということだろうか。
CEATECのコンセプトが「CPS/IoT Exhibition」ということで、思い切って『KIROBO mini』を全面に出したことは、ブースの盛況ぶりを見ると、正解だったと思えた。
※写真撮影:筆者
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