
時代はまさに、「個人で電力を賄う」という方向に動いている。
「自家発電など微々たるもの」という概念はすでに昔のものになり、今や自家発電どころか「個人発電」が常識になりつつある。そうしたことを念頭に置いた製品も、どんどん開発されている。
今回は我が国日本の地理に合致した製品をご紹介しよう。
バッグに収まる水力発電装置
クラウドファンディングサイト『Indiegogo』で、このようなものが出展されていた。
携帯型水力発電装置『Estream』である。
使わない時は筒状に収納できるこの『Estream』、蓋を開けて広げるとプロペラが出現する。それを丸ごと水流の中に入れてしまうのだ。
上の動画の中では、カヤックに取り付けて水流を作るということをしている。だが我が国において、そうした工夫は不必要だろう。
たとえば、東南アジアを流れるメコン川は川幅が広く、流れが非常に緩やかだ。そうした場所で急な水流を起こすことは難しいが、日本の川はいずれも流れが速い。これは日本の国土が火山帯を中心にしているからこその地形だが、ともかくこの『Estream』は日本の地理事情と極めて相性が良い。
この製品はロサンゼルスの企業が作ったもので、「日本を意識して開発した」という意図はまったくないはずだ。偶然とは、じつに不思議なものである。
いざという時の「命綱」
『Estream』のバッテリー容量は6,400mAhで、満充電までは4.5時間かかるという。
6,400mAhは、アウトドアにおいても充分なキャパシティーだ。もしこれが災害発生時の避難生活の場合でも、「自然エネルギーで電力を賄える」ということは大変ありがたい。東日本大震災や熊本地震の時も、被災者へ提供する電力の確保が議題に上がった。
ひとつ残念なのは、この画期的な製品を製造企業は日本の自治体へ直接PRしていないということだ。自然災害の危機を常に目の当たりにしている我が国にとって、『Estream』は必要不可欠な「命綱」となるはず。各地域の防災シェルターに備わっていれば、いざという時には必ず助けてくれるだろう。
世界はエコエネルギーの道をゆく
「個人が電力を作る」という発想においても、『Estream』は重きをなすに違いない。
スマートフォンを充電するのに家庭用電源から電力を供給するのは、じつは非合理的なのだ。たった5ワットの電力ならば、自分で作ったほうが理に適っているという発想だ。
こうして世界は「省電力・エコエネルギー」の道を進んでいる。その流れから目を背けることは、誰にもできない。
人類は、確実に進化しているのだ。
【参考・動画】