「CEATEC JAPAN 2016」のあるブースでは、人が洗濯物を畳むことに費やしている時間は、一生で9,000時間、つまり375日であると訴えていた。
その時間を、自由な時間として使いませんか? という提案をしていたのがセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社のブースで行われていたプレゼンテーションだ。
同社が展示した『ランドロイド』は、洗濯して乾燥が終わった衣類を自動的に畳んで分類することもできる。
ぐしゃぐしゃになった洗濯物を畳むことは、さすがに機械には無理だろうと疑っていただけに、プレゼンテーションは非常に興味深い内容だった。
よれた衣類から本来の形状を推測する
ステージには3台の『ランドロイド』が並べられていた。サイズは大型冷蔵庫ほどで、これを置ける家は、かなり広い家だろうなぁと想像した。
『ランドロイド』は今のところ洗濯や乾燥はできない。あくまで洗濯して乾燥まで済ませた衣類を、畳んで分類する機能に特化された家電品だ。ただ、洗濯や乾燥は既に既存の家電品でも自動化されているので、この畳むという工程が自動化されれば、人類は洗濯という家事から解放されることになる。
しかし、さまざまな形状を持ち、ランダムかつ複雑に折れ曲がって姿を変えてしまう衣類を自動的に畳むと言うことは、非常に難しいであろうと想像できる。
しかも『ランドロイド』は、衣類をタイプ(シャツかズボンかなど)や用途(お父さん用、子ども用など)によって分類して整頓もできるというから、衣類を識別する能力が非常に高いはずだ。実際、同製品の開発には10年以上が費やされているとのことだった。
ステージでは3台の『ランドロイド』に、それぞれ異なった分類の課題を与えて折りたたみと分類の実演を行った。
それぞれの『ランドロイド』には、洗濯籠から出された衣類がごちゃまぜになった状態のまま放り込まれた。
『ランドロイド』が折りたたみと分類を行っているあいだ、『ランドロイド』内部ではどのように衣類が認識され折りたたまれているのかが映像で紹介されたが、ほとんどが企業秘密でモザイク処理されていたため、正直よくわからなかった。
課題は小型化
その映像によれば、『ランドロイド』はランダムに放り込まれた衣類を1着ずつ摘まみ上げて撮影して画像処理し、そのよれた状態からでもAIによって本来の衣類の形状が推測されるようだ。
そしてそのよれよれの衣類がどのような衣類なのかを推測した上で、器用なアームを使って折りたたんでいく。この二つの作業を行うためには、どうしてもある程度の大きな空間が必要となってしまうことが、『ランドロイド』の課題となる。
デモで折りたたまれた衣類は、見事に分類され折りたたまれていた。
この実演を見て、とうとう人類は衣類を自動で畳めるところまで来たのかと、感動を覚えた。
なお、『ランドロイド』はまだ開発途中であり販売されていない。現在、2017年3月の発売が目指されている。発売までにはさらなる小型化が目指され、発売された後も『ランドロイド』のソフトウェアは自動アップデートが続けられるという。
いよいよ人類は、洗濯物を畳む作業から解放されるのだろうか。
【画像】
※ 筆者撮影