私たちは既に、外国語と母国語を自動的に翻訳するツールを、不完全ながらも利用できる状況にある。
しかし、手話で話しかけられたらどうだろう。同じ国の人でもほとんどの人が困惑するはずだ。私たちは意外にも、そのような事態へ対処するツールをまだ手にしていなかった。
しかしこの状況を打開しようという画期的なアイディアが出された。「Google Gesture」だ。
これは手話の動きを特殊なリストバンドでデータ化し、音声に翻訳するというアイディアだ。
残念ながらまだ実現はできてはいないが、世界中の学生を対象にしたアイディアコンペの「Future Lions 2014」で、スウェーデンのBerghs School of Communicationの学生達が受賞したアイディアだ。
この学生達のアイディアが実現されれば、手話の知識が無い人たちでも、手話で話しかけてくる人達と容易にコミュニケーションを図れるようになるだろう。
手話をデータ変換する概念
「Google Gesture」の仕組みは次の通りだ。
まず、手話の利用者が腕に特殊なバンドを装着する。このバンドには腕の筋肉の動きから手の形を感知できるセンサーと、腕の位置を感知するセンサーが組み込まれている。
これらのセンサーからどのような手話が示されているかを特定するデータがスマートフォンに転送される。
データを受信したスマートフォンが、専用アプリで手話のデータを解析してリアルタイムで通常の言葉に翻訳する。
そして翻訳された言葉が、スマートフォンから音声として発せられるのだ。
この音声を聞くことで、手話の知識が無い人でも手話の利用者が伝えたいことを瞬時にたやすく理解できるという画期的なシステムなのだ。
未来のコミュニケーションツール
「Google Gesture」は、単なる夢のあるアイディアで終わらないだろう。Googleにはこのアイディアを実現する開発力があると考えられるからだ。
既にGoogleでは音声入力や音声読み上げ機能を備えた翻訳ツールの開発が行われている。手話を翻訳して音声に変換するアイディアを実現する事は期待できそうだ。
「Google Gesture」が実現されれば、聴覚障害者と健常者とのコミュニケーションは飛躍的に豊かになる。そんな社会を実現する事は、Googleという企業に取っても社会を変えるという意義有るプロジェクトになるはずだ。
また、現在注目されているウェアラブルコンピュータが普及すれば、例えば高機能腕時計がそのまま手話を理解する、といった発想も出てくる可能性もある。
そんな期待や可能性が、「Google Gesture」の向こう側に見えてきた。