
自動車の未来は、ガソリンだけでなく電気や水素といったエネルギーの多様性と、自動運転に向かっていることは間違いないようだ。
それではバイクが目指すべきコンセプトは何か?
それを提案してみせたのが、BMWのコンセプトバイク『Motorrad Vision Next 100』だ。
このコンセプトバイクは、電気で走るということ以上に、バイクをより安全な乗り物に進化させることを目指している。
それはつまり、ライダーがヘルメットやプロテクターを装着しなくても安心してバイクの疾走感や開放感を感じられることだ。
人工知能が安全をサポートするバイク
『Motorrad Vision Next 100』には新しいテクノロジーが搭載される。
それは各種センサーと人工知能だ。ライダーはバイクを自由に乗りこなして楽しめるが、安全面については人工知能システムが担うことで、人間の判断だけに依存するよりも遙かに安全にできるということだ。
その結果、ライダーはヘルメットやプロテクターの装着を省いて、いつでも気軽にバイクに乗ることができる。
つまり、『Motorrad Vision Next 100』のシステムは走行中の道の先の状態を予測し、事故を防ぐためのアドバイスをライダーに知らせる。
もし、ライダーが事故防止のための回避行動を取れなかった場合は、システムがライダーに代わってバイクを操縦するという。
そしてもっとも特徴的な機能は、『Motorrad Vision Next 100』は自身でバランスを保つことができるため、走行中だけでなく停止した際も倒れないようにバランスを保てる。
つまり、転倒しないバイクなのだ。
停止しても倒れないバイク
『Motorrad Vision Next 100』に乗る際はヘルメットは不要と書いたが、システムからの情報を確認するために、専用のHUD付きバイザーを装着する必要がある。
これは風や埃などの飛来物から目を守るためにも役立つが、それ以上にシステムからの情報を見るために必要だ。例えばこの先の道の状況がどのようになっているかや、システムが危険を察知したことを知ることができる。

また、『Motorrad Vision Next 100』の動力は排気ガスが無い電気モーターで、このパワーユニットはバイクが停止している際は折りたたまれる。
そしてこのモーターは、バイクが停止している際のバランスを保つことにも利用されるという。

さらに『Motorrad Vision Next 100』のフレームは、走行状態に合わせて曲がりが最適化され、高速走行中は柔軟性を小さくして安定性を高めたり、低速時は柔軟性を大きくして乗り心地をソフトにする。
バイクの進化すべき目標を示した
『Motorrad Vision Next 100』はBMWの設立100周年記念として発表されたコンセプトバイクで、その目指しているところは10年ほど先の未来だ。
したがって、まだコンセプトの段階であり、実現しているわけではない。
しかし、自動運転を目指す自動車とは別に、バイクが目指すべき未来を示した例としては、評価されるべきではないだろうか。
【参考】