
すでに米国では人工知能(AI)が経済やスポーツに関する記事を自動生成している。
そしていよいよ、日本でもAIによる記事作成が試みられた。AIが作成した記事を紙面に掲載したのは、中部経済新聞だった。
同社は創刊70周年記念の新しい試みとして、11月1日の朝刊紙面に、AIが作成した記事を掲載した。
日本でも記者の仕事をAIに任せる動きが出てくるかもしれない。
まだ不自然さが残るAI作成の記事
中部経済新聞に掲載された記事をAIに執筆させたのは、データセクション株式会社というデータ分析サービスなどを手がける会社だ。
同社は記事を生成するAI技術を持っており、今回は中部経済新聞の過去記事を学習させたAIに、同社の歴史や展望をテーマに記事を生成させた。
これは記者だけでなく、ライターにとっても脅威であり、私も慌ててできあがった記事を読んだが、その品質は正直少しだけ安堵させてくれる品質のものだった。
つまり、不自然な仕上がりだと感じた。

過去の記事から学ぶAI
AIは、中部経済新聞の過去の記事の内、今回のテーマに関係する記事数千文を学習したという。
そして、完全に自動で生成したのではなく、まだ人の手を借りて記事を生成している。
具体的には、仕上がりの記事を3つのブロックで構成することを決め、各冒頭の文を、人間が作成している。AIは、これらの人間に作成された文頭を引き継ぎ、それに続く文章を生成したのだ。
そしてAIには複数の文章を生成させ、最も見やすいと人間が判断したものを選び出している。
さらに選び出した文章の誤植や語尾などを人間が修正したというから、まだまだ人間が介在せねばならない状態なようだ。
ただ、人間の介在はある程度抑制し、敢えて不正確な表記もある程度残したまま掲載したため、人間が読むと少々不自然な記事に仕上がっている。
AIが生成した文章に気付かなくなる日は近い?
今回の試みは、70周年を迎えた同紙が、「新しく面白い情報提供にチャレンジしていく第一歩」として企画した。
結果的には、まだ今回の記事の仕上がり具合は人間には及んでいない。
しかし、AIの技術が加速していることを考えると、目にする文章のほとんどがAIによって生成されているのに気付かない、という時代は、目の前に来ているような気がする。
【参考】