
ホビーでも業務用でも、多種多様なドローンが飛ばされるようになり、空がだんだん賑やかになりつつある。
しかし、さまざまな分野に恩恵をもたらしているドローンだが、その一方では事故を起こしたり違法な飛行が行われ、挙げ句の果てはテロにまで利用されるという問題も発生している。
そこで幾つものドローン対策が工夫されているが、相手のドローンを損傷してしまったり墜落させてしまっては、地上の人に危険をもたらしたり物を破損させるといったリスクが伴うことが多い。
そこで違法なドローンや不審なドローンを、傷つけることなく捕獲する強力な兵器が登場した。
まるでバズーカ砲のようにも見える厳つい『DroneGun』だ。
これは強力そうだ。
ドローンを破壊せずに強制着陸させる
『DroneGun』を発表したのは米バージニア州と豪シドニーに拠点を置くDroneSheild。地上からドローンの制御権を奪い、安全に着陸させることができる。
『DroneGun』はその名の通り大型のガンの形状をしているが、銃弾もミサイルも発射しないので安心して欲しい。
バックパック型電池と一体の製品で、搭載されたスコープで目標のドローンを狙い、通信妨害を起こしてドローンの動きを封じることができる。
狙われたドローンはその場でゆっくりと安全に垂直着陸させられる。また、トラッキングの設定が行われていれば、スタート地点に戻させることができる。
そのため、確保したドローンを調べたり、スタート地点に戻るドローンを追跡することで、操縦者を突き止めることもできるかもしれない。
また、着陸させる前に、まずは操縦者に送信している映像を強制的に停止させることもできる。
これらの機能を実現するために、『DroneGun』は多数のメーカー製ドローンに対応しているという。
ドローンを破壊するリスクを回避する
『DroneGun』はその厳つい形状のわりには6kg弱と持ち運ぶことに難のない重量であり、一人で操作可能なため、フットワークの良いミッションを遂行できる。
また、射程距離も2kmであるため、実用性も高い。
そして最も優れた性能は、前述の通り、ドローンを破壊するのではなく、その場で安全に着陸させることができる点だ。
このことの重要性は、たとえば墜落させたドローンが、実は違法だったかどうか証明できなかった場合、その破損を弁償しなければならないかもしれない。
また、テロで利用された場合、爆発物などの危険物を搭載しているドローンを墜落させることは危険だ。悪くすると、周辺の人や物に被害を与えてしまう可能性がある。
しかし『DroneGun』で垂直着陸させることができれば、それらのリスクを少なくすることができる。
『DroneGun』の需要は高まるだろう
ただし、『DroneGun』には課題がある。それはFCC(連邦通信委員会)の認証を通っていないことだ。
そのため米国・オーストラリアともに政府関係者以外での使用や売買が認められていない。
ただ、違法性や危険性のあるドローン対策の必要性は高まっていくであろうから、『DroneGun』のような製品も必要とされていくだろう。
【参考】