
クリスマスが近づくと、街中で定番のクリスマスソングが流れ出す。
私は別にクリスマスに良い思い出があるわけではないが、それでもクリスマスソングを聴くと、なぜか気持ちが浮き足立ってしまうから不思議だ。
そんなクリスマスソングに、少々不気味な印象を受ける作品が登場した。
それこそ人工知能(AI)が作詞作曲した曲なのだが、驚くべきは、AIは一枚の写真からインスピレーション(?)を受けてクリスマスソングを作り出したことだ。
AIはいったい、どんな聖夜をイメージしたのだろうか?
写真からインスピレーションを得るAI
AIに写真を見せてクリスマスソングを作詞・作曲させたのは、トロント大学コンピューターサイエンス研究所のRaquel Urtasun准教授だ。
彼はディープラーニング用のネットワークライブラリ「cuCNN」と「Tesla K40」というGPUを使い、機械学習を行った。
オンライン音楽100時間分でニューラルネットワークを鍛えたという。
AIに見せた写真には、クリスマスツリーと、そのそばにいくつかのプレゼントの箱が置かれた状態が映し出されていた。
AIは写真に写っているそれぞれのオブジェクトの意味を解釈した結果として、クリスマスソングを作詞・作曲したという。
特にできあがった歌詞(後述)を見ると、写真に何が映し出されていたのかを認識できていることがわかる。
宗教的な深さまで感じさせる歌詞
できあがった楽曲は動画で鑑賞していただきたいが、クリスマスらしさがあり現代風のポップな感じには仕上がっていると感じられた。
しかし、メロディーが人間らしくない不自然な(斬新な?)音程に飛んでいる当たり、まだまだ機械的な印象と、やや奇妙な印象を受ける。
ただ、歌詞はなかなかにそれっぽく書き上げている。写真に何が写っているのかを検出できているということだろう。
そこでAIが作詞した歌詞を、私なりに歌詞っぽく訳してみた。
Lots to decorate the room.
The Christmas tree is filled with flowers.
I swear it’s Christmas Eve.
I hope that’s what you say.
The best Christmas present in the world is a blessing.
I’ve always been there for the rest of our lives.
A hundred and a half hour ago.
I’m glad to meet you.
I can hear the music coming from the hall.
A fairy tale.
A Christmas tree.
There are lots and lots and lots of flowers.
部屋をいっぱいに飾りましょう
クリスマスツリーは花で満たされて
私はクリスマスイブを強く感じる
あなたが語ることが私の望み
世界で最も尊いプレゼントは天の恵みだから
私は私たちの命がある限りそこにいた
100時間半前のこと
私はあなたに会えて嬉しい
私にはホールからの音楽が聞こえて
一つのおとぎ話に
一本のクリスマスツリー
そしてとてもいっぱいに満たされた花々よ
冬のクリスマスツリーが花で満たされているという矛盾や、私たちの命の残りに自分がいつもいた、といったおかしな、しかし何やら宗教的な深い意味を感じさせる部分がある不思議な歌詞になっている。
ただ、全体的には、クリスマスのイメージが盛り込まれたそれっぽい歌詞にはなっている。
AIが定番ソングを作曲する日がくるか
後はイントロとエンディングの工夫ができるようになれば、ちょっと斬新な楽曲として通用しそうな気もする。
ただ、今回のできからは、AIが作詞・作曲した楽曲がクリスマスソングの定番になるには、もう少し研究が必要そうだ。
いや、あるいは想像以上にAIの楽曲作り能力の向上は加速し、来年のクリスマスには街に流れているかもしれない。
AIは、聖夜に何を祈るのだろうか。
【参考】
※ Artificial Intelligence Generates Christmas Song From Holiday Image – News Center
【動画】