
あれ、買い忘れてた!
キャンプ場や海水浴場などの出先で足りないものに気付いても慌てない。
Amazonに発注すれば、最寄りの「上空」から商品が届けられるのだ。
そんなSFというよりも漫画チックですらある構想が、米国の特許として出願されていた。
なんと、上空4.5万フィート上空に倉庫を浮かべ、そこからドローンで配達しようというのだ。
いったい、どれほど壮大なアイデアなのだろうか。
配送センターを空に浮かべるという発想
Amazonが申請していた特許のタイトルは「Airborne fulfillment center utilizing unmanned aerial vehicles for item delivery」という。

上空4.5万フィート(約14km)に大型の配送センターを浮かべておき、注文された商品をドローンで指定の場所に配達するという構想だ。
空飛ぶ配送センターには、多種大量の商品と、多数のドローンが格納されている。
この空飛ぶ配送センターは、天候や地上でのイベント開催地に合わせて移動するという。
空からの配達のメリットとは
地上をトラックで配送する場合は、道路の混雑状況や道路そのもの構造上の制約でどうしても配達に時間がかかってしまう。
そこでAmazonはドローンによって配達するサービスの「アマゾン・プライムエア」の試験的稼働を行っているが、これも荷物を抱えたドローンの飛行距離という制約があるため、配送センターから一定の距離内でなければ実用できない。
ところが今回特許申請された上空の配送センターからの配達であれば、これらの問題が解決できそうなのだ。
地上の配送センターは一度設置したら、その場所から移動することはできない。しかし、空に浮かんでいる配送センターであれば、需要に応じて位置を変えていくことが可能だ。
また、配達用のドローンも、上空から降りるだけなので省エネタイプの飛行が可能になる。
しかも特許では、このドローンは上空の配送センターにまで戻る必要がなく、最寄りのドローン回収施設にさえ戻れればよいので、バッテリーが節約できる。
地上の回収施設に貯まったドローンは、商品や燃料をの補充用の小型飛行船などのシャトル便でまとめて上空の配送センターに戻される。
ちなみに、このシャトル便には、交代作業員も乗るようだ。空に出勤するという新しい通勤スタイルも生まれる。

可能性は押さえておくというビジネスへの執念
今回の特許は、さすがに様々な規制や安全性の問題も多そうなので、実現するには道のりが遠いだろうが着眼点は面白い。
確かにコンサートやスポーツ観戦、海水浴や登山など、アウトドアを楽しむ人たちの需要に短時間で対応するには「空から」配達することが効率的だ。
とりあえず可能性が少しでもあれば特許として押さえておくという、ビジネスへの執念めいたものを感じさせるAmazonの特許だ。
【参考・画像】
※ United States Patent and Trademark Office