
歯磨きは人類の「課題」である。
どんなに高潔な人物でも、歯磨きは決して欠かさない。虫歯は誰にとっても恐怖の存在だ。それを知っているからこそ、歯の手入れだけは決して怠ることができない。
だが、今現在普及している歯ブラシは歯垢を完全に取り除いてくれるのだろうか?
虫歯はまず歯間から進行しやすいと言われている。ならば歯間の汚れを除去するのが一番だが、旧来型の歯ブラシではその面で難儀してしまう。
だったら、歯間用歯ブラシを作ってしまおう。
歯間の汚れを残らず除去
クラウドファンディングサイト『Kickstarter』で目標金額5,000ユーロ(約62万円)のところを、33万ユーロ(約4,000万円)もの資金を集めたプロジェクトがある。それが歯間専用歯ブラシ『Wingbrush』だ。
まるでホッチキスのようなデザインの製品だが、細いブラシを前に押し出すことにより歯間に潜り込ませ、歯垢を除去するというアイディアである。
それにしても、動画の作りが絶妙だ。恐怖と緊張で汗をかく男が、震える手でドアを開ける。そこには歯科の手術台。男は電気椅子に座るかのごとく、手術台の上に乗せられ……という冒頭シーンである。
この男のようにならないためにも、歯間のクリーニングは怠ってはならないということなのだろう。
全世界普遍の需要
クラウドファンディングサイトに出展される製品には、大きく分けて2種類のものがある。
全世界普遍の需要が見込めるか、または特定の人々しか買わないものかだ。この両者の比率を筆者の感覚で判断するなら、前者が2で後者が8という割合である。
たとえば、新型モビリティーは「全世界普遍の需要がある」とはじつは言えない。そもそも我が国日本には道路交通法というものがあり、乗り物に対して厳格な速度制限を課している。そのような国に「時速40kmの電動スクーター」などをもたらしても、市民に受け入れられる可能性は極めて低い。
だが一方で、「歯間専用歯ブラシ」というものは誰しもが必要とせざるを得ないものだ。Wingbrushは先述の「2割に属する製品」であることは間違いない。
今後、一般市場への投入が待ち望まれる逸品だ。
【参考】
※ WINGBRUSH® – The revolution of interdental cleaning – Kickstarter