
昨今では、腕時計にしろ置き時計にしろ、デザインが凝っていたり機能がてんこ盛りになっていたりすることが多い。
そんな中、驚くほどシンプルなデザインと機能の置き時計が登場した。
デジタル時計なのだが、時刻を表示していないときは単なる一枚の石版のように無表情だ。
そしてじっと見ていると、モワッと時刻が彫り込まれたように浮き上がってくる。
この地味な演出が、かえって時の流れをドラマチックに感じさせるから不思議だ。
その時計は『Etch clock』という。
石版に刻まれたような数字で時を刻む時計
『Etch clock』はデザインも機能もシンプルなデジタル時計だ。
まるで40センチ四方の平板な石版に、彫り込まれたような数字で時刻を表示する。
しかもその数字は、モワッと浮き上がり、ふーっと消えていく。
まさに時が「刻まれている」という印象を受ける。
デザインだけでなく機能もシンプル
もちろん、『Etch clock』は石版に時を刻み込んでいるわけではない。
石版に見えるのは弾力性のあるエラストマーだ。つまり、ゴムのような弾力性を持った素材が使われている。

そのエラストマーの膜を、裏側から吸引することで、数字が彫り込まれたようなへこみを作るのだ。

『Etch clock』はスマートフォンのアプリを使って時刻の調整を行えるが、それ以外にもアプリを使って2つの設定ができる。
1つはデジタル表示を30秒おきに表示させるモードだ。もわっと時刻が浮かび上がり、ゆっくりと表面が平らに戻って表示が消える、といったことを繰り返す。
そしてもう1つは、通常は何も表示させず、なにかしらの環境音・生活音を検知したときのみ時刻を表示するというモードだ。
このように『Etch clock』は、時刻を知らせるという最低限の機能に絞り込まれたデジタル時計だ。
時間の流れに物理的な印象を与える
公式ウェブサイトには、人は重要な瞬間を過小評価していると書かれている。
そこで『Etch clock』は、時刻を彫り込まれたような数字で表示することで、時間というものに物理的な存在感を与えるという「魔法」をかけるのだという。
確かにモワッと表れて静かに消えていく様は、時の流れの中で生じる様々な現象を象徴しているかのようにも感じる。
このシンプルだが印象的に時を刻む『Etch clock』は、ミニマリストには魅力的な時計ではないだろうか。
【参考】