
災害地や戦場では、瓦礫や電線、有毒ガスなどが障害となり、車両やヘリコプターが近づけないことがある。
タイヤでは乗り越えられない瓦礫があり、ヘリで近づくには電線やビルの残骸にローターが触れる危険がある。
また、もしも有毒ガスが発生していた場合、操縦者や乗組員が危険にさらされてしまうだろう。
しかし、イスラエルのUrban Aeronautics社が開発している『Cormorant』と名付けられたドローンならば、それらの障害を乗り越えていけるかもしれない。
災害地や戦場で救出に出動できるドローン
『Cormorant』は前述のような厳しい条件下でも飛行でき、着陸や離陸が可能なドローンとして開発されている。
やや大きめな自動車といったサイズで、兵士や救助隊、あるいは救出された人たちを乗せて飛行できることを目指している。
最大積載量は500キログラムで、最大速度は時速115マイル(約185キロ)で飛行することができる。
この『Cormorant』が、2016年11月に初の自律飛行テストを成功させた。
開発費用は総額1,400万ドルと考えられている。
ヘリコプターが飛べない危険な環境を想定
まだ開発途上ということもあり少々無骨なデザインだが、ローターが車体の内側に格納されており露出していないため、ヘリコプターのようにローターが建物や電線に触れる危険が少ない。
そのため、ヘリコプターでは危険で飛行できないような環境下でも飛行でき、着陸や離陸も可能だ。
たとえば森林地帯の隙間や市街地、災害現場や戦場などが考えられる。
また、『Cormorant』は遠隔操作が可能であるため、パイロットや乗組員を危険にさらしてしまう可能性がある有毒ガスが蔓延している環境や、爆発物が残されている可能性がある場合でも利用することができる。

2020年の市場投入を目指す
Urban Aeronautics社は『Cormorant』の開発に15年を費やしており、2020年には市場への投入を目指している。
テスト飛行の動画を見る限りでは、まだふらつくなど不安定な様子が見られ、命を預けるにはかなり不安だが、2020年までには改良が続けられて安定した飛行を実現しているのだと期待したい。
『Cormorant』が活躍しなければならないような災害や戦争が無くなることこそが理想的だが、現実には『Cormorant』のような救出用の乗り物の需要は無くなりそうもない。
したがって『Cormorant』の早期の実用化が待たれているに違いない。
【参考】
※ WATCH: Flying ambulance drone heading for take off – The Times of Israel
※ Urban Aeronautics’ Cormorant Flying Car Just Landed the Today Show – Inverse
※ Israel’s ‘Flying Car’ Passenger Drone Moves Closer to Delivery