
無数の小型ドローンが、イナゴの大群のように空から的に襲いかかる。
そんな新しい攻撃の仕方が実現しそうだ。
1月9日、米国防総省は、103機の小型ドローンを編隊飛行させるという世界最大の実験に成功したと発表した。
自律的に飛行して群れをなすドローン
米国防総省によれば、その小型ドローンは「Perdix」と名付けられており、米カリフォルニア州チャイナレイクの上空で2016年の10月に実験が行われた。
実験では3機のFA18 Super Hornet戦闘機が飛行中に103機のPerdixを投下して行われた。
Perdixは30cm×16cmの超小型ドローンで、重量も230g程度しかない。
このPerdixをFA18から次々と投下した。戦闘機からの投下ということでかなりの衝撃を受けそうだが、Perdixはマッハ0.6にも耐えられるという。
そしてばらばらに投下されたPerdixは、お互いに通信し合って自律的に飛行しながら、中央からの命令に群れとして従う行動をとれたという。
鳥のように群れを維持しながら命令に従う
このPerdixは、あらかじめ個々に行動をプログラムされていたわけではないところがミソだ。
中央からの命令を受けると、機体同士が通信し合いながら、分散型の一つの頭脳として強調して行動する。
まるで、鳥や魚が群れとなって行動するかのようである。しかも共通の命令に従いながらも、お互いにぶつからないように飛行できる。
このPerdixの群れにはリーダーもいない。そのため、脱落した機体があったり、新たに追加された機体があったりしても、群れとしての機能を失わずに行動を続けられる。
戦場を雲霞のごとくドローンが飛行する日
Perdixは米マサチューセッツ工科大学(MIT)で2013年に開発され、その後改良が加えられてきた。
Perdix自体は低コストで量産できるため、兵器としてはコストパフォーマンスが高いことが期待できる。
また、今回の実験の成功が、ロボット兵器が群れとして自律的に行動できる可能性を広げたことになり、空だけでなく、地上や海上・海中でも応用できるようになるだろう。
現在、米国防総省は自律飛行プログラムをアップデートすることで、次は1000機規模での実験を成功させることを目指しているという。
近い将来、戦場を雲霞のごとくドローンの群れが飛行する光景が現実になるのかもしれない。
【参考】